ユニクロのTシャツブランド「UT」の役割:新連載・アパレルビジネス風見鶏(1/3 ページ)
ユニクロの売り上げが好調だ。トレンドに左右されないアイテムを大量生産し、細かな販売計画で売り切るというビジネスモデルで成長を続ける中、Tシャツブランド「UT」はどのような役割を担っているのか。同社の担当者に話を聞いた。
アパレルビジネス風見鶏:
食・住と共に生活に欠かせない衣料品だが、日本のファッション市場の規模は18兆円(2013年・経済産業省調査)と縮小傾向にある。一方で主要国や中国では拡大しており、ローコストなファストファッションの台頭もあり、国際間の競争が激しさを増している。
そんな荒波の中、日本のアパレル企業がどのような戦略で臨んでいくのか。また日本へと進出する海外ブランドの狙いは何か。本連載でその謎に迫っていく。
著者プロフィール:
ブロガー/ライター。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、メディア・カルチャー・ネット情報を題材にするかたわら、月数十冊は読み込むファッション誌も遡上に。アパレルメーカーのブランド戦略からユースカルチャーでの受容のされ方まで幅広く追い続けている。メンズ・レディスを問わず好きな服を好きなように着る“乙女男子”でもある。Twitterアカウント:@parsleymood
2015年4月の売り上げが前年比119.8%と好調なユニクロ。SPA(製造小売業)として、トレンドに左右されないアイテムを大量生産し、細かな販売計画で売り切るというビジネスモデルで成長を続ける中、少し趣が異なっているのが2003年から展開しているTシャツブランド「UT」だ。
2015年春夏ラインでは、「タンタン」「ミッフィー」といったキャラクターや日本の老舗である「永楽屋」や英国発のブランド「マーチャント&ミルズ」とのコラボレーションした全35のコンテンツ、1200色柄のアイテムを用意している。
一見、「ヒートテック」「エアリズム」といったインナーのヒットとは真逆の戦略のように見えるUTだが、同社UT事業部チームリーダーの松沼礼氏によれば「ユニクロ自体がライフウェアという哲学を掲げていて、人々の人生を豊かにする服作りからは外れていない」と話し、マーチャンダイジング(商品企画)や在庫コントロール、マーケティングは他のユニクロ商品と変わらないという。
一方で、人々の個性を彩るという意味において、UTが果たしている役割は大きい、とも松沼氏は語る。
「Tシャツは一番メッセージ性の高い服。着ていること自体が自己表現やコミュニケーションのツールになり、ポップカルチャーや企業のロゴを身につけることでメディアとして発信できる。人々の生活に彩りを与えるという意味では、重要なサブブランドという位置付けとして考えています」(松沼氏)
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