ユニクロのTシャツブランド「UT」の役割:新連載・アパレルビジネス風見鶏(3/3 ページ)
ユニクロの売り上げが好調だ。トレンドに左右されないアイテムを大量生産し、細かな販売計画で売り切るというビジネスモデルで成長を続ける中、Tシャツブランド「UT」はどのような役割を担っているのか。同社の担当者に話を聞いた。
2015年4月にUTme!は、ユーザーが作ったTシャツを販売できるマーケット機能をスタート。ユーザー自身が作って売れるアプリを提供しているアパレル企業はユニクロのみだ。「ボーカロイドをはじめとして、自分で作って発表するという、世の中の変化をつかんでいく必要があります。その中で、自己表現のプラットホームとして、売るという形が出てきました」(江口氏)と話し、コミックマーケットやデザインフェスタのような文化の影響もあったという。
UTme!の使いやすさについては「まだ買いやすさに課題がある」(江口氏)というが、マーケット機能の反響は予想以上だった。UTme!マーケットでは、ユーザーはまず住所や名前などのクリエイター登録をして、デザインを出品。それをガイドラインに従って審査され、それを通ったアイテムの販売が開始される。審査はすべてスタッフが目視で確認する過程が必須だが、想定以上の出品数があり、許諾の可否を2週間以内に行う体制作りが大変だったという。
「LINE」とスタンプで競合?
「UTme!はユーザーにとって究極の自己表現をしてもらう場にしていきたい」(江口氏)とし、スタンプ機能も有している。現状ではユニクロ側で選定されたデザインのみの提供だが、今後はスタンプをユーザーがデザインして出品するという機能も考えられる。
となると、クリエイターによるオリジナルスタンプを既に多く販売している「LINE」との関係が気になるところだが、権利関係や許諾に問題がない状況ならばUTme!でも出していく可能性もある。今後、デザインを発表するプラットホームとしての存在感を増していくことになるのか、UT自体の戦略と合わせて、Webサービスの展開も気になるところだ。
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