飲料メーカーの伊藤園が6月1日に発表した2015年4月期通期の連結決算で、経常利益は前年同期比45.3%減の112億2900万円だった。低迷するドリンク関連事業において広告宣伝などを積極的に行ったことで費用がかさんだ。
売上高は前期比1.6%減の4305億4100万円、営業利益は同46.0%減の113億9300万円、当期純利益は同39.7%減の72億9200万円となった。消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動や、個人消費低迷の長期化、円安に伴う原材料・燃料コストの上昇などがあいまって、前期は減収減益だった。
主力のリーフ・ドリンク関連事業は、売上高が3999億8600万円(前期比2.4%減)、営業利益が77億800万円(同57.0%減)となった。無糖茶飲料は国内および海外で好調、コーヒー飲料も販売数を伸ばしたが、野菜飲料は低調に推移した。事業全体では原価低減や各経費の見直しに努めた一方、ブランド強化のために広告宣伝や販売促進費用を積極的に投入した。
飲食店関連事業は、タリーズコーヒージャパンでパスタをはじめとしたデリカ類やアイスクリーム類の販売が大きく伸長したことなどで、売上高は252億3400万円(同8.9%増)、営業利益は35億7200万円(同12.4%増)と業績を押し上げた。
2016年4月期通期の見通しは、売上高4600億円(同6.8%増)、営業利益150億円(同31.7%増)、経常利益140億円(同24.7%増)、当期純利益87億円(同19.3%増)と、増収増益を見込む。リーフ製品の販売拡充や、ルートセールスによる営業基盤の確立、総コストの削減を進めるという。
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