なぜ小さなコンビニが、セブンより下でローソンより上なのか:水曜インタビュー劇場(コンビニ公演)(3/7 ページ)
エキナカにあるコンビニ「ニューデイズ」の業績が興味深い。1店舗の1日の売上高に相当する日販は、セブンが65万5000円、ローソンが51万9000円に対し、ニューデイズは57万円。小さなコンビニが、なぜ大手の一角に食い込むことができたのか。担当者に聞いたところ……。
駅と鉄道と店頭と店内を紐づける
笠井: 駅は公共交通機関の施設ですが、同時に広告媒体でもあるんですよ。通行客数は多いですし、集客力もある。なので、エキナカにはさまざまな広告が掲げられていますよね。同じようなことが、エキナカのコンビニでもできるのではないでしょうか。
例えば、新商品のお菓子が発売されると、コンビニの棚に並びますよね。ほとんどのコンビニは、その商品を売りたいがために並べる。もちろん、ニューデイズでもその商品を売りたいがために並べるのですが、それだけではありません。先ほども申し上げたとおり、エキナカにはたくさんの人が歩いているので、店頭に並べるだけで“宣伝活動”としての価値も生まれてくるんですよ。
土肥: 新商品のお菓子を買わなくても、ニューデイズの前を通った人は「おっ、新商品が出たんだ」と思ってくれる。それだけで効果があるわけですね。
笠井: はい。あと、駅と鉄道と店頭と店内――すべてを紐(ひも)づけることできるんですよ。
土肥: どういう意味でしょうか?
笠井: 大型の新商品がでると、メーカーは広告を打ちますよね。テレビ、新聞、雑誌、Webの広告だけでなく、鉄道の中づりも。また、新宿や渋谷などの駅前をジャックするケースもある。さらに「ちょうどいいところにニューデイズがある。ニューデイズもジャックしよう」というケースもあるんですよ。
土肥: 消費者はどんどん刷り込まれていくわけですね。新商品の広告を見て「あー、この商品食べたいな」「このジュース飲みたいな」と思って歩いていると、目の前にそれが売っている。「じゃあ、ちょうどいいので、買ってみようか」となる。
笠井: 商品を売るだけではなく、広告媒体としての役割も担う。こうしたビジネスが成立しているコンビニは、ニューデイズだけではないでしょうか。
アンケートで、お客さんに「どの媒体を見て、商品の情報を知りましたか?」と聞いたところ、最も多かったのは「POP」でしたが、次に「交通広告(中づり)」「店頭」が続きました。他のコンビニに比べて、「交通広告」の割合がものすごく高いんですよね。なので、交通広告と店頭を融合させれば、ものすごいチカラを発揮できるのではないでしょうか。
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