なぜ大井川鐵道の経営再建に北海道のホテル会社が?:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/4 ページ)
トーマスは大人気だけど経営事情は厳しい。そんな大井川鐵道の事業再生支援が決まった。筆頭株主で取締役4人を送り込んでいた名鉄は撤退し、北海道のホテル再建を手掛けた企業がスポンサーとなる。一体なぜか。そこには名鉄の良心があるようだ。
ありがとう名鉄
大井川鐵道の事業再生の記者会見では、大井川鐵道社長の伊藤秀生氏と前田氏と並び、保坂和孝氏の名前もある。保坂氏はエクリプス日高のオーナーとのことで、大井川鐵道への出資決定にかかわっているはずだ。保坂氏については意外なところから情報を得た。犬の散歩で通っている公園だ。この公園は競馬場の近くで、厩舎関係者も訪れる。
「日高の保坂さんといえば馬主さんでしょうか。お会いしたことはありませんが、知り合いの厩舎でも預かっているはず。中央競馬にも馬を出しているようだから資産家ですよ。保有馬は少なく、良い馬を選んで持つ堅実なタイプだと思います」
私は競馬をよく知らないけれど、だいたいこんな内容の話だった。そうか、大井川鐵道の蒸気機関車(アイアンホース)たちは、馬主さんが救ってくださるというわけか。
大井川鐵道の名鉄からきた取締役が、再生支援計画を作った。そこで名古屋でビジネス経験をした経営者と、そのスポンサーを推薦した。名鉄の撤退ではあるけれど、ちゃんと大井川鐵道の今後の道筋を考えていた。これは潔い決定と言える。
晩年は少し残念なこともあったけれど、名鉄が大井川鐵道を支えてくれた時代がある。だから今、私たちはSL列車を楽しみ、トーマスに心を躍らせる。そもそも、大井川鐵道でSLの保存運転に尽力された元副社長、白井昭氏も名鉄の出身だった。名鉄に感謝するとともに、名鉄推薦(?)新社長の手腕に期待したい。
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