「earth music & ecology」がブランド名を“壊した”理由:アパレルビジネス風見鶏(1/3 ページ)
アパレルブランド「earth music & ecology」の戦略が興味深い。女優の宮崎あおいさんを起用し、彼女の透明感を前面に打ち出していたが、2015年3月に放送されたCMは違っていた。その狙いは……。
アパレルビジネス風見鶏:
食・住と共に生活に欠かせない衣料品だが、日本のファッション市場の規模は18兆円(2013年・経済産業省調査)と縮小傾向にある。一方で主要国や中国では拡大しており、ローコストなファストファッションの台頭もあり、国際間の競争が激しさを増している。
そんな荒波の中、日本のアパレル企業がどのような戦略で臨んでいくのか。また日本へと進出する海外ブランドの狙いは何か。本連載でその謎に迫っていく。
著者プロフィール:
ブロガー/ライター。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、メディア・カルチャー・ネット情報を題材にするかたわら、月数十冊は読み込むファッション誌も遡上に。アパレルメーカーのブランド戦略からユースカルチャーでの受容のされ方まで幅広く追い続けている。メンズ・レディスを問わず好きな服を好きなように着る“乙女男子”でもある。Twitterアカウント:@parsleymood
女優の宮崎あおいさんを起用した「あした、なに着て生きていく?」と問いかけるCM・広告を展開し、20代の女性を中心に確固たる存在感を発揮しているクロスカンパニーのアパレルブランド「earth music & ecology(以下アース)」。
1999年の設立以来、一貫してナチュラルガーリーなアイテムを発表し続けているブランドの強みについて、クロスカンパニー アース事業部販促チーム次長の中村雅美氏は「今の女の子のマインドは、おしゃれだと思いたいし思われたいけれど、他の人と違った目立つ格好をしたいかというとそうではなく、自分のいる領域になじむようにしたいという意識が強い。その“なじみたい”感覚を保つのにアースの世界観はちょうどいいんです」と分析する。
特に2010年から放送しているCMは宮崎さんの透明感ある魅力を前面に打ち出し、「20代だけでなく、高校生から30代以上の主婦層まで、幅広い世代に浸透するようになりました」(中村氏)といい、店舗での告知と連動したプロモーションがブランドの認知度を広げる役割を果たした。
だが、2015年3月に放送されたCMはこれまでと様相が違っていた。宮崎さんが笑顔で店内のポスターをスプレーで汚していき、ハンマーでショップ内の「music」のロゴを破壊する。これまでのブランドのイメージとは真逆のパンクなシーンに、多くのファンや関係者が驚かされた。同時に「music」の部分が空欄になった店頭ポスターが配布され、「店舗スタッフも答えが分かっていない」(中村氏)状態だったという。
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