コラム
「宇宙に行くため」ではない――ロケットの本当の役割とは?:秒速7.8キロメートル(3/3 ページ)
2015年4月、低コスト化への鍵である“ロケット再使用”のための着陸実験が行われた。実験は失敗に終わったが、“ロケット”とは一体、どういう物なのかを考察する。
回るスピードが半端ない
回るだけでよいなら簡単なことなのでは? と思われたかもしれません。ところが、この回るスピードというのが半端ではなく、その速さは秒速7.8キロメートル(物が落ちずに地球の周りを回れる秒速7.8キロメートルという速さのことを専門用語で第一宇宙速度といいます)。
私たちが普段使い慣れている時速に直すと2万8000キロメートルとなり、これは飛行機(時速950キロメートル)の30倍の速さです。この速さで回らないと、地球の重力に対抗できる遠心力を生み出すことができないのです。
つまりロケットの役割とは?
消防車が火事現場に行くだけではなく、そこで放水をして火消しの活動を行わなければならないのと同じように、ロケットは、運んでいる荷物にものすごいスピードを与えた上で宇宙まで届けないといけません。つまり、ロケットの役割の本当に正しい説明の仕方は、「ロケットは、積んでいる荷物を目的の速さまで加速させるもの」ということになります。
ロケットの打ち上げ映像を見ると、途中からどんどん傾いていくのがわかると思います。宇宙へ行くだけなら真上に打ち上げればよいのですが、わざわざ傾ける必要があるのは、最終的に地球を回るための水平方向のスピードを与えたいがためなのです。(Credo 編集部)
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