えっ、予定通りに飛んでいない? 機内で何をしているのか、パイロットに聞いてきた:水曜インタビュー劇場(パイロット公演)(5/7 ページ)
晴れている日もあれば、雨の日もある。無風のこともあれば、風が強いこともある。さまざまな状況の中で、パイロットはどのような会話をしているのか。JALの機長に聞いてきた。
最終的な判断は機長
土肥: 着陸前にはどんな決断があるのでしょうか?
酒巻: 着陸のときは風がこのように吹いてくる、滑走路はこのように見えてくる、なのでこのように操縦しなければいけない。そんなことをイメージしながら対応していかなければいけません。
天候が悪くて、ゴーアラウンド(着陸をやり直すために再び上昇すること)しなければいけないときもあります。また、着陸する予定の滑走路にまだ飛行機が残っていれば、ゴーアラウンドしなければいけません。そうしたケースでも当然リプランですね。着陸のときは、その場、その場の決断が多くなります。
塚本: ひとりが操縦しているとき、もうひとりは飛行機とパイロットがどういった状況なのかを見ながらアドバイスしなければいけません。そこで気づいたことがあればどんどん言わないと、パイロットが気づかないことがあるんですよね。特に着陸のときには時間があまりないので、ぱぱぱと決めていかなければいけません。
土肥: 意見が一致しない場合にはどうするのですか?
塚本: 最終的には機長が決断しなければいけません。だからといって、機長が「オレはこう思うから、こうだ。言うことを聞け」というわけではありません。副操縦士が「こっちのほうがいいんじゃないですか」という意見があれば、その理由を聞かなければいけません。なぜそのように判断したのか。過程を2人で話し合うことによって、機長が「そういえば、そうだよね」となることも。機長は自分の考えを押し付けるのではなく、副操縦士の意見もきちんと聞かなければいけません。チームとしていい判断に導くことも、機長の大切な役目なんですよね。
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