同じような本が何冊も出てくるワケ:新連載・出版社のトイレで考えた本の話(3/5 ページ)
書店に並んでいる本を見て、「よく似たモノが並んでいるなあ」と感じたことがある人も多いのでは。例えば、ピケティの本が話題になると、それに関連する本が相次いで刊行されたが、なぜこうした現象が起きるのか。現役の書籍編集者によると……。
編集者: えっ、いやあ、なんでもいいんですけどね(汗)。えーと、『部長代理は伝え方が9割』とかでは?
著者: ああ、すみません。それは4作目でやる予定で。あと、タイムマネジメントとか手帳術もすでに決まっています。
編集者: あ、マジすか。私のほかにも「伝え方」に目をつける人間がいたとは、やりますねえ。じゃ、思い切って『部長代理の超・子育て論』とか。
著者: 子育て本は7作目でやることになってるんです。ホントにそんなテーマで売れるのかなあ。僕、別に子育ての専門家じゃないし、不安なんですけど。
編集者: いやー、私が推すネタなんだから、売れますよ。あ、子育てって言えば、山田先生、息子さんが中学受験されたんですよね。先週ぐらい、インタビュー記事で答えていらしたかと。
著者: ええ、まあ、あれは雑談レベルですが。
編集者: じゃ、決まりました。『部長代理の中学受験★成功法則』で! うわー、マジで売れそうだ。
著者: いいから、もう帰れよ、お前。
多少(だいぶ?)、誇張してはいるが、こんな「テーマはなんでもいいから、とにかく売れっ子著者に早く書かせること」が最大目的になっている編集者もいる。また著者のほうも、初版部数や営業努力の面で通常より優遇されるので、「出版社がチカラを入れてくれるのなら」と、ついそこに乗っかってしまう。結果として「この人の本、何冊出るんだ?」という状況がつくり上げられてしまうのだ。
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