ビッグデータ解析にゴミ掃除――活発化する日本の宇宙ベンチャー:宇宙ビジネスの新潮流(2/2 ページ)
グローバルレベルで動きの早い宇宙ビジネス業界だが、このところ日本においてもさまざまなトピックスが生まれている。今回はその担い手である日本の宇宙ベンチャーの最新動向を紹介する。
毎日8テラバイト以上も増える地球観測画像
スペースシフト(代表取締役:金本 成生氏)は超小型衛星関連事業を手掛ける。2014年10月にビッグデータ&人工知能ベンチャーのメタップスと衛星ビッグデータ解析システムの共同研究を発表したことは記憶に新しい。本連載でも取り上げてきたが、宇宙関連のビッグデータは世界的に注目を集めている分野だ。例えばNASA(米航空宇宙局)の保有する地球観測画像のアーカイブは10ペタバイトほどあり、1日に8.5テラバイトほど増加している。
目下、具体的な研究テーマを詰めている最中とのことだが、金本氏は「当面は超小型衛星の増加に合わせてハードウェアが伸びるが、今後10〜20年先を考えるとソフトウェアのパイが大きくなり、さらに情報利活用の市場は限度なく拡大していく。衛星を活用することで、宇宙からしか見えない変化をとらえ、それを社会的・経済的価値に変えていくための解析手法が重要になる」と語る。
また、同社は宇宙葬事業も手掛ける。宇宙葬は、昨今TVなどのメディアでも取り上げられているが、故人の遺灰の一部を専用カプセルに入れて宇宙へと打ち上げるサービスだ(最終的に、地球の大気圏に再突入して流れ星となり燃え尽きる)。同社は米Elysium Spaceと提携して日本で営業活動しており、2015年秋に米国で初打ち上げを行う予定だ。「打ち上げまでに顧客は米日で約100人になる」(金本氏)という。
宇宙のゴミ除去を事業に
以前のコラムでも紹介したAstroscale(代表取締役:岡田光信氏)は映画「ゼロ・グラビティ」でも話題に上った地球軌道上にあるスペースデブリ(ゴミ)の除去事業を進める。デブリに小型のエンジンをつけて軌道を変更し、大気圏に突入させるデブリ除去衛星を開発しており、東京都に製造開発拠点を立ち上げることが発表された。2017年には実証機を打ち上げて、2020年までにデブリ200個を処理する目標だ。
このように、日本でもさまざまな民間宇宙ベンチャーが活動をしており、事業化に向けた道筋が少しずつ見えてきている。米宇宙ベンチャーの雄、SpaceXは2002年の創業から10年強が経ち、現在時価総額は1兆円とも言われる。日本からも世界のショーケースとなる宇宙ベンチャーの成功例が出ることを期待したい。
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