“ふわっとした話”にどっと押し寄せる、日本人の「弱み」:スピン経済の歩き方(4/4 ページ)
日本の重要文化財などを補修している小西美術工藝社のデービッド・アトキンソン社長の新著が発売された。タイトルは『イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」』。筆者の窪田氏がその本の中で特に興味をもったのは……。
何が問題で何が危険なのか
言われてみれば確かにその通りで、われわれの周りには「woolly thinking」が溢れている。現在、叩かれている自民党の若手議員の勉強会での発言はその象徴だろう。
「マスコミをこらしめるには広告料収入がなくなることが一番だ」
「青年会議所の理事長のときにマスコミを叩いた。スポンサーにならないことが一番こたえるということが分かった」
あまりに低レベルな報道対策論でバカにされてしかるべきだが、これを「国家権力による報道規制だ」というのはかなりの拡大解釈である。野党もマスコミも鬼の首をとったかのように連日大騒ぎをしているが、もっと大事なことを論じるべきではないのか。「違憲」だというのなら、どこをどう変えなくてはいけないのか。安保法制を潰しても、米国の「負担軽減」を求めるプレッシャーはある。それを突っぱねるというのなら日米安保を根幹から見直さなくてはならない。
「安倍政権は危険だから潰さないと戦争になる」みたいなふわっとした論調ではなく、何が危険なのか、そして問題解決のためには何が必要なのかを分かりやすく国民に伝えることこそが、マスコミの仕事ではないのか。
先週末、ニュースを見ていたら普天間基地で座り込みをされている男性がマイクを向けられて興奮気味にこうおっしゃった。
「今、すごく戦争のムードが盛り上がっているじゃないですか」
ムードではなくロジックを報じるマスコミ文化が、この国もそろそろ必要なのかもしれない。
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