ヒットの香りがプンプン漂う「ザ・トースター」は、どのようにして完成したのか:水曜インタビュー劇場(トースター公演)(3/7 ページ)
バルミューダの新商品「ザ・トースター」が注目されている。食パンなどが“しっとり感”を保ったまま、焦げる手前の焼き加減で仕上がるので、試食会に多くの人が殺到しているのだ。ヒットの予感が漂うこの商品は、どのようにして完成したのか。同社の寺尾社長に話を聞いた。
実験、実験、また実験
土肥: どんな実験をされたのですか?
寺尾: その前にコンセプトが決まったら、簡単な市場調査を行います。これから開発する商品は、市場でどのくらいの価値を提供することができるのか。勝ち目がなければ開発する意味がありませんので。
次に「技術確立」。トーストをおいしく焼くためには、何が必要なのか。水分があれば、いい効果が生まれるのではないかといった仮説を立てました。この段階での実験はそれほど難しくありません。「水分あり」と「水分なし」でやればいい。なぜ「あり」と「なし」かというと、なるべく大きな差をつければ結果が分かりやくなるから。結果が同じであれば、おいしく焼くために「水分は必要でない」ということになる。実験を行ったところ味に違いがあったので、水分が作用していることが分かりました。
次に、水分が「多い」と「少ない」を比較しなければいけません。こうしたことを何度も繰り返すことで、最適な水分量を見つけることができました。
土肥: 実験、実験、また実験なわけですね。
寺尾: このほかにもさまざまな実験をして、「おいしいトーストを完成させるためには、こういう要素が必要」という状況にならなければいけません。要素が確定すれば、技術確立は終了。
次に「商品確立」。話が少しややこしくなりますが、同時にデザインも進行しています。「この箱の中はこういうデザインで……」といった感じで。そして、最後に金型をつくって「量産確立」。
以上のように、商品開発にあたっては、4つの工程があります。(1)コンセプト(2)技術確立(3)商品確立(4)量産確立――同時にデザインを決める。基本的にはこの流れになりますね。
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