ヒットの香りがプンプン漂う「ザ・トースター」は、どのようにして完成したのか:水曜インタビュー劇場(トースター公演)(4/7 ページ)
バルミューダの新商品「ザ・トースター」が注目されている。食パンなどが“しっとり感”を保ったまま、焦げる手前の焼き加減で仕上がるので、試食会に多くの人が殺到しているのだ。ヒットの予感が漂うこの商品は、どのようにして完成したのか。同社の寺尾社長に話を聞いた。
一番苦労したこと
土肥: 今回のザ・トースターを開発するにあたって、「ああ、もう無理」と思われたことってあるのですか?
寺尾: あります、あります。しょっちゅうですよ。コンセプトを決めたものの、技術確立がうまくいかずに、完成することができなかった商品はたくさんあります。ザ・トースターの場合もさまざまな課題が出てきて、「こっちの問題は解決したぞ」とホッとしても、すぐに「違う問題が出てきたぞ」となる。こうしたことが毎日のようにあるので、「本当にこの商品は完成するのか」と何度も思いました。
土肥: 一番苦労したことは何ですか?
寺尾: 水を入れる部分ですね。
土肥: ザ・トースターには、正面の上に水を入れるところがあります。そこに水を入れて、電源を入れると中でスチームが発生する。そうなることでパンの表面が軽く焼けて、中には水分が閉じ込められるんですよね。
寺尾: トレーの部分に水を入れるだけなのですが、そのトレーをどの位置に置けばいいのか苦労しました。最初のころは前や横に設置したのですが、どうも水を入れにくい。2枚目のパンを焼くときには機械が熱くなっているので、ヤケドしそうになる。このようにさまざまな問題が出てきて、イチから設計を見直しました。
土肥: この商品はいける! と思った瞬間は?
寺尾: 量産できるようになったときですね。そんな大げさなと思われるかもしれませんが、この段階になるまで本当に余談を許さないんですよ。なにが起きるのか分からない。
土肥: 商品開発って設計図が完成すれば、「はい、終了! あとは工場の人、よろしくね♪」といった感じだと思っていました。
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