ヒットの香りがプンプン漂う「ザ・トースター」は、どのようにして完成したのか:水曜インタビュー劇場(トースター公演)(5/7 ページ)
バルミューダの新商品「ザ・トースター」が注目されている。食パンなどが“しっとり感”を保ったまま、焦げる手前の焼き加減で仕上がるので、試食会に多くの人が殺到しているのだ。ヒットの予感が漂うこの商品は、どのようにして完成したのか。同社の寺尾社長に話を聞いた。
“落とし穴”はどこにでもある
寺尾: 全く違いますね。設計図ができても、次に「調達」の問題があります。ひとつの部品がなければ、完成しないことがあります。ホームセンターで売っているようなネジであれば問題ないでしょう。特殊な電子部品の場合、それを調達するのに3〜4カ月ほどかかるモノがあります。また発注ミスとか、納期の調整ミスとか、忘れてたといったケースもあります。設計は自分たちでやっているので、その部分はなんとかなります。気合いで!
土肥: 気合い(笑)。それにしてもどこに落とし穴があるのか分かりませんね。
寺尾: どこにでもあるんですよ。設計の段階で「この部品がいいので、これにしよう!」と決めても、本当に調達できるのかチェックしなければいけません。例えば、ある半導体にしようと思っても、その半導体は年間どのくらいつくられているのか調べなければいけません。また、どういったお客さんが使っているのかも調べなければいけません。自動車メーカーが使っていたとして、もしそのクルマがヒットしたらどうなるのか。その半導体を手にすることができなくなるかもしれません。
土肥: 逆だと思っていました。あのヒットしているクルマにも使っている半導体を、ウチの商品にも使っているんですよ、とアピールできるのかと。それにしても難しいですね。必要な部品が売れてしまうと在庫がなくなってしまうかもしれない。売れていなかったら商品の製造がストップするかもしれない。
寺尾: そうなんですよ。なので、理想は安定的に市場に出回っているモノなんです。製造以外の仕事をされている方にはなかなか想像できないかもしれませんが、この世界は裏で部品の“とりあい”をしています。いざ調達する段階になって慌てないように、設計の段階で丁寧に調べなければいけません。
最初のころは、夢ばかり語り合っています。「このデザインいいねえ」「この部分は最高だねえ」といった感じで。でも、実際につくり始めると、毎日のように問題が出てきます。
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