「世界に通用する日本みやげ」に必要な“よそ者”視点:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
観光庁主催の「世界にも通用する究極のおみやげ」というイベントが開かれ、最終的に「目利き」と呼ばれる審査員によって9品が選ばれた。しかし、本コラムの筆者・窪田氏は違和感を覚えたという。なぜなら……。
スピン経済の歩き方:
日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。
そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」を紐解いていきたい。
先日、山口宇部空港を利用した際にフライトまでかなり時間があったので土産物屋さんをぶらぶらしていたら、「晋ちゃん珈琲」なるドリップ式の珈琲パッグが売っていた。
「まだまだやります! アベノドリップ」という言葉の意味は分からないが、とにかくインパクトのあるキャッチコピーに引かれてついつい衝動買いをしてしまった。そこでふと2年くらい前にここに来た時にも「晋ちゃんまんじゅう」を買ったことを思い出した。
当時は地元山口を代表する「キャラ」として特設コーナーがあった。あの時に比べたら品ぞろえがかなり減っている。いったいどうしたのかと店員さんに尋ねたら、バツの悪そうな顔をしてこんなことをおっしゃった。
「いまいろいろ言われているからねえ……まあこういうモノは流行り廃りがあるからやはりつくる業者さんも大変ですよね」
要するに、売り上げがよろしくないらしい。少し前までは「アメノミクス」という飴が売れていたが、残念ながらこちらも棚から消えてしまったとか。
こういう状況はなにも安倍さんグッズだけの話ではない。ちょっと前に日本全国の観光土産屋を席巻した「ゆるキャラ」関連商品もふなっしーやくまモンなど一部の「勝ち組」以外は次第に消えている。やはり時代によって生み出された「キャラクター」を起用した観光土産は、時代の流れとともに消え去るものなのかもしれない。
関連記事
- “ふわっとした話”にどっと押し寄せる、日本人の「弱み」
日本の重要文化財などを補修している小西美術工藝社のデービッド・アトキンソン社長の新著が発売された。タイトルは『イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」』。筆者の窪田氏がその本の中で特に興味をもったのは……。 - 「日本は世界で人気」なのに、外国人観光客数ランキングが「26位」の理由
日本政府観光局によると、2014年に日本を訪れた外国人観光客は2年連続で過去最高を更新した。テレビを見ると「日本はスゴい」などと報じているが、国別ランキングをみると、日本は「26位」。なぜ外国人たちは日本に訪れないのか。その理由は……。 - 「LEDよりも省エネで明るい」という次世代照明がなかなかブレイクしない理由
「CCFL(冷陰極管)」という照明をご存じだろうか。LED照明にも負けない省エネで低価格な製品だが、筆者の窪田氏は爆発的な普及は難しいという。なぜなら……。 - なぜ日本人はウイスキーを「水割り」で飲むのか?
ドラマ『マッサン』効果でウイスキー市場が盛り上がっている。各社の売り上げが伸びている一方で、気になることも。それは「水割り」。海外の人たちは「ストレート」や「ロック」で飲んでいるのに、なぜ日本人の多くは水割りを好むのか。その理由は……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.