「世界に通用する日本みやげ」に必要な“よそ者”視点:スピン経済の歩き方(2/5 ページ)
観光庁主催の「世界にも通用する究極のおみやげ」というイベントが開かれ、最終的に「目利き」と呼ばれる審査員によって9品が選ばれた。しかし、本コラムの筆者・窪田氏は違和感を覚えたという。なぜなら……。
「ファンシー絵みやげ」は地域活性化にも貢献
残念だが、それは歴史も証明している。例えば「ファンシー絵みやげ」だ。
1980年代くらいの観光地の土産物屋さんに必ず置かれていたファンシーなキャラクターのイラストが描かれたキーホルダーなどのことで、「ファンシー絵みやげ」の収集と研究をされている山下焦燥院長という方が名付けたものだ。
「サントリーCANビール」のCMキャラクターとして起用され後に映画化までされたパピプペンギンズのようなタッチで、文房具なんかもそういう絵が流行していたので30〜40代くらいの人ならば「おお、懐かしい!」という反応ではないか。
この「ファンシー絵みやげ」が当時はよく売れて、地方活性化に大いに貢献した。もちろん観光業者もウハウハだ。例えば、長野にある全国の観光土産の卸や開発で知られるタカチホという企業もこの80年代に大きな成長を果たしている。29年前の日本経済新聞では、善光寺の土産物屋から全国展開する観光総合企業に成長した同社を紹介し、その原動力に「ファンシー絵みやげ」の「開発力」があったと以下のように言及している。
若者向けの商品ではウサギのキャラクター「キャロット・クラブ」などのロングセラーがあるが、これらは同社の企画デザイン課が生み出したもの。28歳のチーフを筆頭に、全員20代で構成するこの課は本社2階の一角にあるが、コミック本が置かれ、ロックが流れる様子はさながら“治外法権”。「われわれには何をやっているかさっぱり理解できない。企画デザイン課にはなるべく立ち入らないようにしている」と役員たちは苦笑するが、ここが同社の感性の中枢なのである(日本経済新聞1986年7月2日)。
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