「世界に通用する日本みやげ」に必要な“よそ者”視点:スピン経済の歩き方(3/5 ページ)
観光庁主催の「世界にも通用する究極のおみやげ」というイベントが開かれ、最終的に「目利き」と呼ばれる審査員によって9品が選ばれた。しかし、本コラムの筆者・窪田氏は違和感を覚えたという。なぜなら……。
「世界にも通用する究極のおみやげ」に違和感
よく「町おこし」の現場では「若者、バカ者、よそ者が必要」なんて言われるが、当時のタカチホにはこの3要素がすべてそろっていたことがうかがえる。
そんな黄金期を築いた「ファンシー絵みやげ」だが、バブル崩壊とともに次第に店頭から姿を消し、いまや山下院長が保存活動をするほどの「絶滅危惧種」となってしまった(参照リンク)。
盛者必衰の理をこれ以上ないほど体現している事例ではあるが、土産屋さんの「晋ちゃん珈琲」とか「ゆるキャラ」のキーホルダーを見る限り、基本的な考えはあの時代とそれほど変わっていない。
そう聞くと、なにやら否定的な印象を受けるかもしれないがそんなことはない。むしろ、市場規模は3兆円以上なんて言われながらも、いまだに「おらが村自慢」的な考えにとらわれている観光物産業界のなかではかなり善戦しているほうだと思っている。
少し前、観光庁が主催した「世界にも通用する究極のおみやげ」なんてイベントがあった。「日本の食ブランドを代表する、まさに、世界にも通用する究極のお土産」を選考するため全国からお土産を募集。1次の書類選考でふるいをかけて、最終的に「目利き」と呼ばれる審査員によって9品の「究極のおみやげ」が選ばれたそうで、わりとよくニュースになったので覚えている方も多いだろう。(参照リンク)
はじめに断っておくと、ここで選ばれた9品にケチをつける気はさらさらない。実際に食べたことがあるモノもあり、「日本人に生まれてよかった」と叫びたいくらい見事な逸品もある。観光地で見かけたら間違いなく手が伸びるだろう。が、これが「世界にも通用する」のかというと首を傾げざるをえない。
なぜかといえば、審査員の20人とオブザーバーの2人はすべて日本人。その肩書きを見れば、三越伊勢丹、東急、阪神阪急という有名デパート、紀伊国屋、明治屋という高級スーパー、さらにはJR東日本、楽天など。要するに、日本の流通業界を代表する面々が選考をしているのだ。
関連記事
- “ふわっとした話”にどっと押し寄せる、日本人の「弱み」
日本の重要文化財などを補修している小西美術工藝社のデービッド・アトキンソン社長の新著が発売された。タイトルは『イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」』。筆者の窪田氏がその本の中で特に興味をもったのは……。 - 「日本は世界で人気」なのに、外国人観光客数ランキングが「26位」の理由
日本政府観光局によると、2014年に日本を訪れた外国人観光客は2年連続で過去最高を更新した。テレビを見ると「日本はスゴい」などと報じているが、国別ランキングをみると、日本は「26位」。なぜ外国人たちは日本に訪れないのか。その理由は……。 - 「LEDよりも省エネで明るい」という次世代照明がなかなかブレイクしない理由
「CCFL(冷陰極管)」という照明をご存じだろうか。LED照明にも負けない省エネで低価格な製品だが、筆者の窪田氏は爆発的な普及は難しいという。なぜなら……。 - なぜ日本人はウイスキーを「水割り」で飲むのか?
ドラマ『マッサン』効果でウイスキー市場が盛り上がっている。各社の売り上げが伸びている一方で、気になることも。それは「水割り」。海外の人たちは「ストレート」や「ロック」で飲んでいるのに、なぜ日本人の多くは水割りを好むのか。その理由は……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.