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インタビュー

なぜ小さな会社が、“かつてないトースター”をつくることができたのか水曜インタビュー劇場(トースター公演)(3/6 ページ)

バルミューダがこれまでになかったトースターを開発した。最大の特徴は、表面はさっくり焼けて香ばしく、内部は水分をしっかりと閉じ込めてふわふわ。そんな食感を楽しむことができるトースターを、なぜ従業員50人の会社がつくれたのか。

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“普通のモノ”になってしまう

土肥: なぜ第三者に話を聞かないのですか?

寺尾: 聞けば、聞くほど分からなくなるんですよ。

土肥: どういう意味でしょうか?

寺尾: マーケティング調査を行うと、商品の欠点ばかり指摘される。「こうしたらいいのに」「ここが不便」「こんなこともしてほしい」といった感じで。

土肥: そうした声が“ノイズ”に感じて、商品開発が進まなくなる?

寺尾: ノイズを聞いてしまうと、なかなか無視できません。「消費者ってこういうことを考えているのか……」となって、開発時に取り入れてしまうんですよね。その結果、どうなると思いますか?

土肥: うーん、何だろう?

寺尾: “普通のモノ”になってしまうんですよ。

土肥: ははは。「パンくず受けが進化しましたーーっ!」と堂々とアピールしてしまう。

寺尾: 「このボタンが小さかったから、大きくしました」「英語じゃ分かりにくいから、日本語にしました」――。こうした商品ってどうでしょう? 革新的ではないですよね。

土肥: テレビのリモコンのようですね。ユーザーの意見を重視するあまりにボタンだらけになってしまって、逆に使いにくくなりました。

寺尾: ですです。「何色がいいですか?」と聞いても、ほとんど同じ意見なんですよ。黒とか白とか。こうした話を受け入れることは、クリエイティブを殺す行為なので、絶対に話を聞いてはいけません。

 例えば「2万円のトースター、買いますか?」と聞いても、ほとんどの人が「買わない」と答えるでしょう。その理由は? と聞いても「高いから」と答えるはず。こうした話を聞くと、「トースターをつくるのを止めようか」となってしまう。なので、当社は絶対にマーケティング調査を行いません。


バルミューダの寺尾玄社長

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