ワールドカップ準優勝から考える「今後のなでしこ」:赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)
サッカー・ワールドカップで、なでしこジャパンが準優勝を手にした。史上2チーム目となる連覇こそ逃したが、「よくやった」という声が多い。しかし、本当にこのままでいいのか。スポーツライターの臼北氏は、女子サッカーにまつわる問題点を指摘している。
臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:
国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
頂点にはたどり着けなかった。サッカー・カナダ女子W杯決勝戦で日本女子代表「なでしこジャパン」が米国代表に2―5で敗れた。
史上2チーム目となる連覇こそ逃したものの大会準優勝。決勝戦終了直後に大粒の涙を流していた選手たちの表情は、7日夕方に帰国した際にはほとんどが笑顔になっていたが、終始険しい形相のままだったメンバーもいた。キャプテンのMF・宮間あや(岡山湯郷ベル)だ。帰国会見に臨んだ宮間は「(女子サッカーが)ブームではなく、文化になっていけるように……」と切り出すと、次のように本音を漏らした。
「私たちのことを大きな大会のたびに注目していただけることは本当にありがたいですし、感謝しても感謝しきれないですが……。自分の中には“常に結果を出し続けなければ、すぐにファンが離れていってしまうのでは”という不安を感じてきました。これは決して大げさに言っていることじゃなく、本当のことです。例えばですけど、Jリーグの選手は“男子サッカーの人気がなくなってしまうのでは”とはたぶん思っていないはずです。そういう不安がなくなったときに、きっと文化として定着するのかなと思います」
優勝はできなかったけれど、準Vだから良くやったじゃないか――。そういうふうに大会での健闘を称える声が強い中で、それだけで終わってしまってはいけないという危機感を強く持ったからこそのコメントだった。この宮間の発言は的を射ていて今後のなでしこジャパンを考える上で、とても大きな意味を成すものだと思う。
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