ワールドカップ準優勝から考える「今後のなでしこ」:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)
サッカー・ワールドカップで、なでしこジャパンが準優勝を手にした。史上2チーム目となる連覇こそ逃したが、「よくやった」という声が多い。しかし、本当にこのままでいいのか。スポーツライターの臼北氏は、女子サッカーにまつわる問題点を指摘している。
ベテラン頼みの「マンネリ化」
懸念材料の1つとして挙げられるのが、ベテラン頼みの「マンネリ化」だ。「なでしこ」は世代交代を急がなければいけない――カナダW杯が開催されるずっと以前から指摘されていたが、今大会に臨んだメンバーを見ても分かるように遅々として進まなかった。23人のメンバーには前回W杯のドイツ大会を経験した選手が17人、3年前のロンドン五輪を経験した者も15人いた。
メンバーが古くからお互いを知り、国際試合を数多く経験している者同士だったからこそ団結力が強まったのは、確かにプラス材料だった。今大会前の下馬評があまり高くなかったにも関わらず、それを覆して準Vを成し遂げたのは常連組でメンバー構成されたことで一枚岩になれた部分も当然大きかったと思う。
しかしながら2008年の北京五輪までさかのぼって見ても、当時代表に名を連ねていたMF澤穂希(INAC神戸レオネッサ)や宮間ら11人が今大会でもメンバー入りしている。やっぱり、これはどういう方向から見ても「マンネリ」と言わざるを得ない。場数を踏んでいるベテランの力は重要であっても、そこで若いメンバーとの入れ替わりが行われないようではチーム力の向上は難しいだろう。
今回の最年少は22歳の岩渕真奈(バイエルン・ミュンヘン)だが、彼女は前回W杯も経験しているだけに完全な新戦力とは呼べない。サイドバックとしてオランダ戦でもゴールを決めるなどして大ブレークした27歳の有吉佐織(日テレ・ベレーザ)ら6人が初出場だったとはいえ、まだまだ“古い世代頼み”にならざるを得ない状況になっているのは気がかりだ。
一部メディアでは宮間が近い将来の代表引退を視野に入れていると報じられたが、もしこれが事実であれば、彼女自身も「なでしこ」の将来を考えて“若い子にもっと出てきてほしい”という考えから身を引く決意をしたのかもしれない。
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