既存のコーチングとは何が違う? アイディール・リーダーの考え方:新しい考え方(後編)(3/4 ページ)
「コーチング」といえば、上司が部下に指示を出すといったイメージが強いが、Ideal Leadersはこれまでとは違う新しい考え方を提案している。それは「アイディール・リーダー」。代表取締役ファウンダーの永井恒男氏に話を聞いた。
リーダーの仕事って本来楽しいこと
――その過程においては、コーチングの対象が経営者から、経営陣やマネージャーへと広がっていくこともあるわけですね。
永井: そうですね。今お話しした事業買収や売却の場合もそうですが、社長の一存では決定できず取締役会の合意が必要になります。でも、われわれのコーチングを受けていない取締役会のメンバーがそれについていけるとは限りません。そこで、われわれが加わってオフサイトミーティングを開いたりします。そこで、合意をまず形成して、次は役員クラスの合宿へ、次にマネージャークラスのワークショップへ、という具合にまさに組織に社長の「理」念や跳「躍」を「響」かせていくプロセスへと広がっていきます。われわれはそのプロセスもファシリテーターとしてサポートしています。
クライアント個人が変わるだけでは十分ではなくて、まさにその組織に、ひいては顧客や社会にまで響かせて行くところまでできなければ「アイディール・リーダー」とは呼べませんから。理想を描く、描き直すだけでなく、それを現実にするためのサポートまでが私たちの仕事だと考えています。
――読者には、そういった経営層の方もおられますが、もう少し若かったり、より現場よりの方も多くいます。そういった方々に御社として伝えたいこととはどういったことでしょうか?
永井: リーダーであること、そしてアイディール・リーダーを目指すことは楽しいことですよ、というのが一番お伝えしたいことですね。
何か言われたことをこなしたり、一生懸命やるだけのほうが、一見楽かもしれない。でも、カオスに飛び込んで、一緒に踊って、周囲に響かせたほうが、絶対面白いですよ――ということですね。その過程で、自分と関わる人たちが目の前で変化したり、成長したりする。苦しい場面もあるかもしれないですが、同僚や上司、プライベートなら奥さんやお子さんが生き生きとしてくる。それがリーダーを目指す人たちが得られるやりがいだと思うのです。リーダーの仕事って本来楽しいことです。
――よく「出る杭は打たれる」とか「能ある鷹は爪を隠す」とか言ったりします。そういった文化、風潮の前に身がすくんでしまう人も多いはずです。
永井: これは私たちの仕事でもありますが、リーダーが称えられる社会にしたいと思っています。先ほど例に挙げた経営者の判断のようなリーダーシップが優れたものである、ということをもっと伝えていきたいと思います。結果だけみると、ドライだと批判されたり、既定路線を遂行しただけだ、と冷めた見方もされたりするのですが、その過程では悩み抜いて自分も含めて皆がどうやったらよい方向に進んでいけるのか、考え抜き、リーダーシップを発揮した結果なのですから。
そして、「出る杭は打たれる」とか「組織の中で浮いてしまう」ことを恐れないでほしいと思いますね。そもそも、打たれたり、浮いたりしても死んでしまうわけではありません。逆にリーダーシップを発揮し続け、自分と周囲に変化を与え続ければ、長い目で見ればずっと大きなものが得られるのです。そのほうが結局「お得」なんですよ(笑)。
日本のような先進国では、社会の安全度が高まっているので、ちょっとした社会的な「擦り傷」があたかも致命傷のように感じられるケースがあると思います。でも擦り傷はやがて癒えるわけです。それでご飯が食べられなくなって死ぬわけじゃない。そして、癒えるだけじゃなくて、一度擦りむいたところは、より丈夫にだってなるのですから。
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