95%の人に嫌われる「ヴィレッジヴァンガード」戦略:5%の人が満足(1/3 ページ)
「遊べる本屋」をキーワードに、本、雑貨、CD・DVDなどを発売している「ヴィレッジヴァンガード」。同社の幹部は「95%の人に嫌われる店 5%に人に気に入られる店を目指す」というが、どういう意味なのか。
金森努氏のプロフィール:
1989年・東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてマーケティング一筋25年。「マーケティング職人」とも名乗る。コール全ター勤務の後、コンサルティング事務所、広告代理店を経て2005年独立。一貫して「マーケティングの要諦は顧客視点」であると主張する。
知っている人は知っている。というより「大好き!」という。知らない人は全く知らない。もしくは前を通ったとしても「何かゴチャとした店」と思うだけでスルーする店。それが、「遊べる本屋」をキーワードに、展開している書店、ヴィレッジヴァンガードだ。書籍、雑貨、CD・DVDなどをコーナー分けせずにゴチャっと陳列販売することを特徴としており、ファンは「ヴィレヴァン」「ヴィレッジ」などと愛称で呼ぶ。
そのヴィレッジヴァンガードの幹部の方(関戸康嗣氏・同社営業企画部リーダー)が連載をしている「AdverTimes(アドタイ)」のコラムで同社の特徴を現しつつ、非常に学ぶべき部分があったのでその話を深掘りしたい。
超ニッチ宣言
コラムは第1回からAdverTimesの連載ページで読むことができるが、特に筆者はこのページに感銘を受けた。連載第8回の途中のページであるが、小見出しに「95%の人に嫌われる店 5%に人に気に入られる店」とある。
その意味するところは、筆者の関戸氏が勤務していた東京のある店舗で、「テナントビルへの入館者数やほかのテナント様の売上も見ることができた。その時そこで見た数字は、今も心に留めている。そこで見た数字は、ヴィレヴァンへの入店率5%。95%は素通りという事実だった」とある。その数字を受けて、同氏は店舗スタッフとミーティングを開き、今後の方向性を見出したという。即ち、「5%の方に思い切り満足してもらえるような店を目指そう。それによって95%の方に満足されなくても構わない」というものだった。
超ニッチ宣言だ。昨今、世の中ではアマゾンが隆盛を極め、リアル書店は大型化で生き残りを図っている。そのどちらでもない自分たちの生き残る道はそこにしかないという考え方に至ったということだ。
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