95%の人に嫌われる「ヴィレッジヴァンガード」戦略:5%の人が満足(2/3 ページ)
「遊べる本屋」をキーワードに、本、雑貨、CD・DVDなどを発売している「ヴィレッジヴァンガード」。同社の幹部は「95%の人に嫌われる店 5%に人に気に入られる店を目指す」というが、どういう意味なのか。
ニッチがニッチであり続けながら収益を上げるには
ニッチ戦略とは大手が手を出さない領域に特化して、その狭い市場でのリーダー、ナンバーワンになることだが、もっと端的にいえば大手が、もしくは誰もが手を出さない事業で収益を最大化することである。もちろん、「収益最大化」と言うからには、ニッチな市場ながら相応の優良顧客を抱えていることが欠かせない。でなければ、商売は成り立たない。
ところが、この「相応の」というところが得てして誤解と悲劇を生む。ニッチであるはずが、収益確保のために規模を追ってしまう例が散見される。ニッチ戦略のリスクとは、市場規模の拡大によってリーダーに目を付けられ、「同質化戦略」を仕掛けられ市場を奪われることである。規模化はそのリスクを自ら高める行為である。
では、ニッチがニッチであり続けながら収益を上げるにはどうしたらいいのか。それは単純な計算式で表すことができる。<売上=客数×客単価×リピート率>である。
顧客規模を追うのではない。少数の顧客でも1人ひとりの客単価とリピート率を上げることを目指す。そのためには、顧客を強烈なファンにすることが欠かせない。しかし、強烈なファンを生むためには自社やそのブランドが他にはない個性的な特徴、ポジショニングを示さねばならないことになる。それ故、その個性に好感を持たない、いわゆる「アンチ」を生むことにもつながる。その覚悟を持てなければ凡庸なブランド、ポジショニングとなりニッチとして成功は望めなくなる。
「ヴィレッジヴァンガード」の「5%の方に思い切り満足してもらえるような店を目指そう。それによって95%の方に満足されなくても構わない」はニッチとしての生き残り策を強烈に覚悟した言葉なのである。
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