メディアに対して「見返してやる」――40歳、上原の“反骨心”:赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)
ボストン・レッドソックスの守護神として上原投手が活躍している。米メディアの間では、“ウエハラ争奪戦”がぼっ発する可能性を報じているほど。恐るべし40歳の原動力は、どこから生じているのか。
臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:
国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
恐るべし40歳と評していいだろう。ボストン・レッドソックスで絶対守護神として君臨する上原浩治投手のことである。前半戦最後の登板となった11日のヤンキース戦では2点リードの9回を10試合連続となる無失点に抑え、今季22セーブ目をマーク。防御率も2.45と比較的安定感の高い数字で前半戦を終えた。
チームはア・リーグ東地区の最下位に沈んでいるものの、その中で絶対的なクローザーとして抜群の存在感を見せている。米メディアの間では7月末のトレード期限を前に「ブルペン補強を狙う優勝候補の他球団がコウジ・ウエハラを“ピース”に加えたがっている」と争奪戦がぼっ発する可能性を報じているほどだ。
ちなみに3年連続20セーブは、日本人選手では佐々木主浩(マリナーズ)以来2人目の快挙。2年前にチームをワールドシリーズ制覇へ導いた投球は不惑の年齢を迎えても錆(さび)付くどころか、いまだに進化し続けている感もある。特に冴(さ)え渡っているスプリットは「打者から逃げるように曲がる」「速球と同じ腕の振りから繰り出されるから見極めが非常に困難」などと評されるように対戦相手を大いにてこずらせている。
一体、この衰えを感じさせない原動力は、どこから生じてくるのだろうか。普段のトレーニングのたまものであることは、もちろん言うまでもない。上原はランニングやストレッチ、エアロバイク、体幹強化などの基礎トレーニングにこだわりを持ち、多くの時間を費やす。メジャー移籍直後は故障を重ねる傾向が続いて悩まされたため、それを予防する意味合いで大ベテランとなった今でも黙々と励行し続けているという。多くの選手が「単調だ」「面倒くさい」と敬遠したり、軽視したりするような基礎トレーニングを地道に積み重ね続けることによって息の長いプロ人生を今もまい進できているのだろう。
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