メディアに対して「見返してやる」――40歳、上原の“反骨心”:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)
ボストン・レッドソックスの守護神として上原投手が活躍している。米メディアの間では、“ウエハラ争奪戦”がぼっ発する可能性を報じているほど。恐るべし40歳の原動力は、どこから生じているのか。
絶対見返してやる
しかし、こうしたフィジカルの面以外でも大きな礎となっているものがある。以前も当コラムで書いたことがあるが、上原の抱く「雑草魂」だ(関連記事)。彼自身のモチベーションとなっているこの言葉こそが、やはり40歳になっても衰えをまったく見せない最大の支えなのだろう。
それに付随して「まともに取材をしない一部メディアへの反骨心」をバネにしているところも見逃せない。実を言うと、だいぶ以前から上原には自身の取材に関する一定の“ルール”を作っているところが見受けられる。例えば、その日の試合において対戦相手の球団に所属する日本人メジャーリーガーの担当記者から取材を受けることを上原はあまり好まない。これはメディアの間では広く知られている話だ。“ついで”で自分が取材されることを嫌っているのである。自分はこれだけがんばっているのに“おまけ”のような扱いをされたのでは、たまったものではない――きっと、そういう考えなのだろう。
それは、そうだ。取材する側にも言い分はあるかもしれないが“相手チームの選手の取材で来たから、そのついでにアナタも……”というスタンスで接せられれば誰だっていい顔はできない。しかも、そのようなスタンスでは取材する側も中途半端な内容しか話を得られないだろうし、そうなれば真実とは違う情報、もしくは薄っぺらな話が発信されてしまう可能性も出てくる。だから、そこに対して上原は厳しく毅然とした態度を貫き、自分のプライドも守ろうとしているのだと思う。
ひとつ、これに関連することとして「もしかしたら……」と思える話がある。上原は2011年7月にボルチモア・オリオールズからテキサス・レンジャーズへ移籍している。その翌年の2012年に日本ハムからダルビッシュ有投手がレンジャーズに加わって、チームメートになると、どうやら上原は取材される側として“屈辱感”を人知れず味わっていたようなのだ。
「この2012年のスプリングトレーニング(春季キャンプ)からダルビッシュ選手の番記者として日本人メディアが大挙して、レンジャーズへ取材にやって来た。その日本人メディアの大半が『レンジャーズ担当』ではなく『ダルビッシュ担当』という意識だから、上原選手のことはよほどのことがない限り取材する必要がない。同じチームにいてスルーされるような形になっていたから、このころの上原選手は精神的にかなりキツかったと思う。これを機に改めて彼は心の中で誓ったのではないだろうか。『絶対見返してやる』と」(事情通)
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