メジャーリーグでMVP級の大活躍――上原浩治はなぜ自らを「雑草」と呼ぶのか?:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(1/5 ページ)
メジャー5年目となった上原は、レッドソックスのクローザーとして圧倒的な信頼を勝ち得ている。チームはア・リーグ東地区を6年ぶりに制した。だが、海を渡るまでの野球人生は決してバラ色とは言い難かった。
著者プロフィール:臼北信行
日本のプロ野球や米メジャーリーグを中心としたスポーツ界の裏ネタ取材を得意とするライター。WBCや五輪、サッカーW杯など数々の国際大会での取材経験も豊富。
至福のひと時を味わった。上原浩治投手のことだ。レッドソックスは6年ぶりにア・リーグ東地区を制し、地区シリーズ進出が決定。2013年9月20日に本拠地フェンウェイパークで行われたブルージェイズ戦で胴上げ投手となった上原は、試合後のシャンパンファイトでチームメートとともに喜びを爆発させた。
「最高やね。でも、あと3回はやりたい」
チームの絶対守護神はシャンパンで体中をビショ濡れにして思いっきりはじけながらも、その後に戦う地区シリーズでの優勝、そしてリーグ優勝決定シリーズ、ワールドシリーズへの進出と勝利を固く誓っていた。
ア・リーグMVP候補にもなる大車輪の活躍
まだ今年の戦いは終わっていないが、ここまでの時点でも上原は十二分の大活躍を遂げている。今季からレッドソックスに加入し、クローザーに定着。9月中旬にはメジャーでの日本人歴代最長となる27試合連続無失点と、37人連続アウトの球団記録をマークした。昨季は地区最下位に沈んでいたチームを地区優勝へと導き、ア・リーグMVP候補にも、その名前が挙げられている。
地元紙ボストン・ヘラルドが「いまやボストンでコージ・ウエハラの名を知らない人はいない」と評していたが、決してオーバーな表現ではないだろう。レッドソックス・上原は間違いなくボストンで、いや全米でスターダムにのし上がったのだ。
しかし、あらためて彼の野球人生を振り返ってみると、決してバラ色ではなかったことが浮き彫りになってくる。
関連記事
- 楽天・田中将大の「10倍返し」――常に意識するのは『超向上心』
プロ野球史上3人目となる開幕15連勝を果たした楽天・田中将大投手。「全試合で全球種を完ぺきに投げ分ける」と高い評価を得ている今季のマー君に何があったのか? - 松坂大輔がどんなに落ちぶれても「メジャー」にこだわる3つの理由
2013年8月、メジャーリーガー・松坂大輔のニュースが久しぶりに話題となった。自ら3Aを退団し、登板機会を求めてニューヨーク・メッツへと移籍したのだ。 - 青木宣親、屈辱のトライアウトからはい上がったメジャーリーガー
日本人メジャーリーガーとして、イチローに次ぐ200安打を達成しそうなのがブルワーズの青木だ。エリートの地位を捨て、夢を追い海を渡ったオトコがいた。 - ゼロより下、マイナスからでもはい上がりたい――川崎宗則の愚直な生き方
「伏兵」と思われていた男が着実に存在感を増している。地元紙が「カワサキさん、ごめんなさい」という見出しをつけて“謝罪記事”を掲載するほどまでだ。その生きざまをふり返る。 - 本田圭佑が所属するCSKAモスクワは「世界で一番脱出が難しいクラブ」
今夏のACミランへの移籍が破談となった本田圭佑。2014年1月には4年契約でACミランに行くとみられていたのだが、どうやらこれも怪しくなってきたようだ。 - 「臼北信行のスポーツ裏ネタ通信」バックナンバー
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.