人口3000万人の小さな国に、吉野家が「再上陸」したワケ:東南アジア発、気になるニッポン企業(2/4 ページ)
牛丼チェーンを展開している吉野家ホールディングスがマレーシアに再上陸した。同社は2009年にマレーシアから撤退したのに、なぜこのタイミングで再スタートしたのか。その理由は……。
マレーシア政府認証のハラルは「世界一厳しい」
なぜ吉野家ホールディングスは、マレーシアにチカラを入れているのか。
「今回のマレーシア進出には、2つの大きな目的があります。1つは、人口12億人といわれるイスラム圏への参入、もう1つは、合弁会社を通して調査、実験導入などのハンドリングをアジア地域で行うことです」(アジア・ヨシノヤ・インターナショナルの加藤広慎ヴァイスプレジデントオブオペレーション)
吉野家ホールディングスは1991年からASEANで店舗を展開してきた。現在、フィリピン7店舗、インドネシア35店舗、タイ20店舗、シンガポール19店舗、カンボジア4店舗を出す。しかし、同社はすでに2億以上の人口を抱えるインドネシアで35店舗を展開している。
すでにイスラム圏のインドネシアに進出しているのに、なぜ「イスラム圏の参入」を謳(うた)うのか。しかもなぜ人口3000万人しかいないマレーシアを選んだのか。調べていくと、マレーシアの国家ハラル認証というキーワードが浮かび上がった
「ハラル」とは「許されたもの」「合法的なもの」という意味のアラビア語。イスラム教では豚肉やアルコールを含む製品などを禁止している。さらに調理法にも制限があり、ハラルの食材はイスラムの教えに則り、合法的に調理されたものでなくてはならない。そのための認証機関によって認められたものにはハラルであることを証明するマークが付けられる。
ところが現在、世界では、いろいろな機関がハラルを認証している。認証機関それぞれに審査基準が異なり、厳しいものもあれば甘いものもある。そのなかで、マレーシアの国家ハラル認証であるJAKIMは、審査の厳しさに定評があるのだ。なお、吉野家ホールディングスはインドネシアではたれまでハラル対応している。
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