iモードを取り込むWAP 2.0──6月がめど

iモードと,日本ではEZwebなどで採用されているWAPが統合される。仕様に関しては議論が続いている部分もあるが,両者の互換性を保つ形で決まる見込み。

【国内記事】 2001年2月21日更新

 WAPフォーラムでは,6月をめどにXMLをベースに再構築されたWAP 2.0(WAP NG)のコンフォーマンスリリースを行う予定だ。このリリースでは,細部のスペックが決まり,ドキュメント化され,相互互換性のテストが可能になる。その後,「楽観的に見れば,3〜6カ月後には対応ブラウザも登場する」(オープンウェーブシステムズのプロダクトマーケティング部テクニカルプロダクトマネージャ,常山宏彰氏)という。

 WAP 2.0では,世の中のXML化を踏まえ,プロトコルスタックと記述言語が大幅に変更される。プロトコルスタックはWAPベースのものと,インターネットベースの2本立てに,記述言語は,XHTMLベースのものとWML1.2を統合したWAE 2.0に変わる。

「WMLはそもそもXMLだ。より市場を広げるために完全にXMLベースに移行する」(常山氏)

 日本のユーザーにとって,WAP 2.0の目玉となるのはiモードとの互換性があることだろう。記述言語としてXHTMLを採用したことで,WAP 2.0に対応した端末であれば,iモード用のコンテンツでもWAP用のコンテンツでも閲覧できるようになるとされている。

iモードとWAPの違い

 インターネットに接続できる携帯電話,ブラウザフォンにはいくつかの規格がある。中でも有力なのが,既に1800万人を超える契約者を持ち,“世界で最も成功しているブラウザフォン”といわれるiモード。そして,Phone.com(現OpenWave Systems)が世界の3大携帯電話機メーカー,Ericsson,Motorola,Nokiaとともに設立したWAPフォーラムが定めた「WAP」だ。

 WAPフォーラムには,日本からNTTドコモ,KDDI,J-フォンなどの通信キャリアも参加しており,世界標準規格といっていい。日本でも,KDDIのau端末は,EZwebという名前でWAPを採用している。

 にもかかわらず,WAPは加入者数でiモードに遅れをとっている状況だ。現在1800万人以上の加入者を持つiモードに比べ,WAPを採用しているKDDIのEZweb加入者は560万人程度(2月8日の記事参照)。世界を見渡しても,日本以外でのブラウザフォン契約者は,ある調査によると数百万人にすぎないという。

iモードとWAPの比較
iモード WAP
ドコモが開発 WAPフォーラムが開発
パケット通信 回線交換・パケット通信
TCP/IPベース WTP,WDP,WCMPベース
記述言語はcHTML 記述言語はWML
インターネットをベースにした言語 携帯電話用の専用言語


iモードがインターネットのプロトコルスタックをベースに構築され,記述言語もHTMLのサブセットであるcHTMLであったのに対して,WAPは携帯電話用にプロトコルスタックも記述言語も専用に作成された。WAP 2.0ではこのプロトコルスタックを2本立てで搭載する

 新しいWAP 2.0は上位互換性が確保されている。これまでのWAPのプロトコルスタックと記述言語もサポートされるのはそのためだ。また,もともとiモードのプロトコルスタックはインターネットベースで構築されており,WAP 2.0に組み込まれるプロトコルスタックはiモードとの互換性も考慮されている。

WAP 2.0では,iモードコンテンツも閲覧可

 ブラウザフォン用のサイトを記述するために使う言語は,多少複雑だ。

  • XHTML Basic+エクステンション+mCSS
  • WML 1.2

 この2つの記述言語を,WAP 2.0のアプリケーションレイヤーであるWAEはサポートする。WML(用語解説)は,もともとWAPが記述言語として採用しているもの。

 iモードは,cHTMLと呼ばれるHTMLのサブセットを記述言語のベースとしている。WAP 2.0がサポートするXHTML Basic(用語解説)は,HTML 4.0をXMLの構文で再定義したXHTMLを,携帯電話などの機器に向けて軽量化したものだ。

 iモード用マイクロブラウザの大手,アクセスも「cHTMLから,いずれXHTML Basicベースになる」と語っており,cHTMLとの上位互換性は確保されているもよう。ユーザーの観点から見れば,WAP 2.0対応の端末ならばiモードサイトもWAPサイトも閲覧できると考えて間違いない。

問題は実装のされ方とタイミング

 世界各地の有力企業が集まるWAPフォーラムの場合,さまざまな企業のニーズを汲み上げ,意思を統一しようとする結果,“規格が定まるのに時間がかかること”,“多くの企業の要求を満たすために妥協が必要になったり,複雑になったりする”という指摘がしばしばされる。

 WAP 2.0でも,仕様確定のスピードは問題になりそうだ。WAP 2.0に対応した端末には,Wxx系(WAP)のプロトコルスタックとインターネット系のプロトコルスタックの両方を実装する必要があるのだが,端末やブラウザのメーカーの中には,片方だけを実装して出そうという動きもある。

 「6月(のリリース)はあきらめてさらに作り込み,年末にシングルブラウザ(両方のプロトコルスタックを実装したブラウザ)を目指す可能性もある」(常山氏)。

 また上位互換性は確保されているものの,“Well-formedかどうか”という問題もある。XMLベースとなるXHTML Basicでは,言語の記述が極めて厳密になる。たとえば,<BR>タグは,</BR>タグで閉じなくてはいけないのだが,現状のiモードコンテンツでそのように厳密な記述──Well-formedなところは稀だ。

 これは,通信キャリアのゲートウェイサーバなどで変換を行ったり,端末側のマイクロブラウザでWell-formedでない記述も認めたりなど,回避できる問題だ。しかし,規格では決められておらず各社の実装に依存する部分でもある。

WAP

 iモードがインターネットベースで作られているのに対して,WAPは当初から「インターネットとワイヤレスは違う」とし,ワイヤレスに特化した規格を,プロトコルから記述言語まで専用に作成した。

 そのWAPが,今回インターネット標準を取り込もうとしているのは,さまざまな理由がある。“iモードがデファクトスタンダードになったから”という理由を指摘する関係者もいる。しかし,ドコモ独自の規格では,そのまま世界に通用しないのではないかという見方も強い。

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[斎藤健二,ITmedia]

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