Mobile:NEWS 2002年5月21日 12:00 PM 更新

504i向け3Dポリゴンの特徴と今後(3/3)


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バージョン3ではプレイステーション並に

ZDNet:バージョン2で、光源処理などを入れてきました。これは要望があったのでしょうか。

 もともと持っている技術なので、(端末の性能的に)そろそろ出せるねと考えました。次のバージョンでは、さらにいろいろな機能を入れてきます。

 バージョン3では、プレイステーション1くらいまでにはいきます。さすがにテクスチャーはゲーム専用機にはおよばないですが、ポリゴン数やフレーム数ではプレイステーション1くらいまでになります。

 色数も、今は256色ですが、内部的には16ビットカラーが可能です。今はダウンロードするデータ量が多くなるため、256色にしています。

 とにかく、ユーザーにフラストレーションを持たれるのが一番イヤなので、それに合わせてやっていきたいです。変なカタログスペック競争になっていったら、ユーザーにはどうなの? というところもありますから。

ZDNet:先日、日立製作所の「SH-Mobile」への対応を発表しました(4月15日の記事参照)。携帯向けではどんなプロセッサに対応していくのですか。

 最初は携帯で軽快に動く範囲ということで、社内的に持っているノウハウや技術のうちの少ししか使っていませんでした。最近、だいぶ環境が整ってきています。CPUの速度はそれほど向上していませんが、メモリの搭載量が増えてきたので、もう少し技術を盛り込めるようになりました。日立のSH-Mobile採用端末ではさらに技術を使えるようになります。

ZDNet:アプリケーションプロセッサが載った端末に3Dポリゴンが採用された場合、具体的にはどこが変わるのでしょうか。

 演算能力が相当上がりますので、フレーム数は単純に上がるでしょう。もっとたくさんのポリゴンを扱っても計算が間に合いますので、背景もすべて3Dで──今は物体だけですが、もっと遠近のある奥行きのある世界でフルポリゴンが可能になると思います。

ZDNet:そのほかのアプリケーションプロセッサへの対応は?

 実際、主要メーカーからすごく引き合いはあります。ハードウェアの環境が整ったらやろう、というメーカーは多かったようです。

 アプリケーションのプロセッサを開発している方から見れば、(エイチアイの3Dは)「アプリケーションプロセッサがあったほうがいいでしょう」という材料になるんです。最初、うちの3Dソフトはベンチマークに使われていたくらいです。

 SH-Mobile以外では、先日Palm SourceのMotorolaブースで参考展示しました。ARMベースのDragonBallです。デモはPalm OS 5上で動作させました。

ZDNet:3Dのみならず、先日は携帯向けのFlashプレーヤーエンジンも発表されました(4月24日の記事参照)。

 この技術は、まずマスコットというものがあって、これにいろいろな機能を詰め込んでいければ……ということで、「マスコットカプセル」と名付けました。もともとはユーザーインタフェースをやりたかったんです。エイチアイという名前も、ヒューマンインタフェースの略であり、あいさつの「ハイ」です。気楽に構えずにコンピュータを使うという世界をイメージしました。

 いわゆるテキスト情報以外の、表情や身振り手振り、言葉の抑揚とか間とか、こういう感覚も情報伝達には必要なことがあるのではないか。マスコットを使ってそれをお手伝いできないか。マルチモーダブルインタフェースと言われていますが、それを3Dのマスコットを使うのであれば、うちのエンジンをお使いくださいと。本来、それを目的に作ったものです。

 それでキャラクターを動かしたのが当たってしまったので、今はキャラクターを動かしていますが。

 3Dポリゴン開発の根底には、“ユーザーインタフェースをよりよくしたい”という川端社長の思いがあった。携帯の各機能がカタログスペック競争に走り、実際の使用感よりも数値を重視する傾向にある中、“技術は持っていても、ユーザーにフラストレーションがたまらない範囲に収めておく”とエイチアイ。J-フォンに続き、ドコモにも3Dポリゴンが採用されたことで、“携帯電話に3D”は当たり前の機能になりつつある。注目されるアプリケーションプロセッサの採用も、動画再生ではなく3DポリゴンやJavaが最初のアプリケーションとなりそうだ。



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[斎藤健二, ITmedia]

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