Mobile:NEWS 2002年5月29日 06:27 PM 更新

「CLIE PEG-T650C」ファーストインプレッション(2/2)


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高性能チップの能力はNRシリーズで実感済み

 スペックを見れば分かるように、PEG-T650CのCPUやメモリはNRシリーズで使われているのと同じものが内蔵されている。

 CPUは従来の2倍のクロックである「Dragonball Super VZ/66MHz」。MS Gateのファイル一覧やムービーの再生といった処理が速いのはこの高速CPUのおかげである。

 Nシリーズでは音楽再生にしか使われなかった「DSP」も機能強化されている。NRシリーズと同様にJPEGの表示や保存といった画像処理でも使われるようになり、PictureGear PocketやCLIE Paintといったソフトで役立つようになっている。

 こうした高速チップの効果のほどはNRシリーズの特集でお伝えした通りのもので、PEG-T650Cでもほぼ同じ結果が得られた。


Palm OSのバージョンは4.1

 内蔵メモリは“16Mバイト”。筆者は最近Bluetoothカードをよく使うのだが、Bluetoothカード使用中はメモリースティックが挿せないため、これまでメモリースティックに逃がしていたソフトを本体に入れるようになった。こうした使い方をするときにも、この内蔵メモリ容量は嬉しい。

 また、NRシリーズでは内蔵されなかった「バイブレーション」機能もPEG-T650Cではきちんと装備されている。


Palm OS 4のサイレントアラームに対応する

ソフトウェアはNRシリーズと同じ内容

 ソフトウェアも、Tシリーズと比べると多少は進化しているものの、NRシリーズとはほぼ同じ内容だった。詳しくはNRシリーズの特集を参照してほしい。

 唯一、NRシリーズから進化したのは「Documents To Go」。辞書アプリのようにハイレゾ対応となり、シートを表示したときに拡大/縮小表示ができるようになっている。スモールフォントで表示したときには8列×18行まで見渡すことができる。また、ジョグダイヤルでカーソルを上下だけでなく左右にも動かせる(ジョグダイヤルを押し込むことで切り替えられる)のも嬉しい改良点だ。


左写真がこれまでのDocuments To Go。メニュー内にある「ズーム」機能で縮小したり(中央写真)、拡大したり(右写真)できる

 付属するソフトはNRシリーズと大差ない。T600CからNRシリーズのバージョンアップ内容については4月12日の記事を参照して欲しい。従来のTシリーズからは進化しており、特にアドレスの写真や辞書アプリのハイレゾ対応、グラフィック系アプリのJPEG/メール対応は操作性や利便性を高めてくれる。


ハイレゾ対応したアドレス(右写真)と辞書アプリ(左写真)。NRシリーズに搭載されたときは「縦長液晶非対応」ということが不満となっていたが、PEG-T650Cでは嬉しいバージョンアップ

目論んだ価格設定のために選んだのは「高性能チップ」。しかし……

 この春にリリースされたNRシリーズは、ハードウェアキーボードや縦長液晶、内蔵カメラ(PEG-NR70Vのみ)を搭載してPalm業界に新しいトレンドを作った。ただ、こうした機能を詰め込んだ結果、その本体は大きくなり、Palmデバイスらしさを失う面も(人によっては)生じた。正直なところ、NRシリーズは「人によって好き嫌いが分かれるマシン」であった。

 しかし、昨年末にリリースされたTシリーズは、そうした癖の強さがあまり感じられないモデル。Palmデバイスの“シンプルなPDA”というコンセプトをソニー流に解釈したことで、新規購入層はもちろん、買い替え層にも受け入れられた。

 PEG-T650Cは、そんなTシリーズのリフレッシュモデルである。もしこれが1〜2ミリでも厚みが増していたり、10グラムでも重くなっていたら、筆者が「この程度なら大して使用感は違わない」と言ったとしても疑心を抱く人がいたと思う。これを避けるために本体サイズは変えず、ソニー流のPalmデバイスのコンセプトを忠実に守りつつ機能の強化(NRシリーズ相当の性能/機能の搭載)を実現したことについては高く評価したい。

 だが、やはり「残念だった」のは、縦長液晶が採用されなかったことである。ソニーはこれについて「縦長液晶に一本化するつもりはない」とコメントしているが、本当のところは「縦長液晶をスタンダードにしたいが、今回はコスト優先で」といったところなのだろう。ソニー自らがソフトの縦長液晶対応の情報を提供していることからも同社の縦長液晶への意気込みは感じられ、実際にそれが功を奏して縦長液晶対応のソフトは充実してきている。

 売れ筋PDAの価格帯が4万円弱であることを考えれば、「音楽再生(高性能CPU&DSP)」と「縦長液晶」のどちらかしか選べなかったのだとは思うが、PDAとしての使い方を考えると、ほかに代替策がある音楽再生より縦長液晶を選んでほしかった……というのが筆者の本音である。


コラム:MacとのHotSyncは?

 従来のTシリーズはサードパーティ製のドライバを使用することなく、MacとHotSyncすることができた(要PalmDesktop 2.6.3以降)。しかし、今回試作機で検証 したところ、PEG-T650Cは「MissingSync」の最新版(バージョン2.2.1)を使わなければMacとHotSyncすることができなかった。Macとの親和性についてはNRシリーズと同等であることを意味する。

環境HotSync
Mac OS 9/X&PalmDesktop 4×
Mac OS 9&PalmDesktop 2.6.3×
Mac OS 9&PalmDesktop 2.6.3&MissingSync 2.2.1

 MissingSyncが必要ということは、Mac OS XやPalmDesktop 4.0ではHotSyncできないことも意味する。しかし、同社サイトや同社のメーリングリストの情報によると「Mac OS XやPalmDesktop 4.0に対応し、iTunesやiPhotoとも連携可能なバージョン3.0が登場間近」とアナウンスされており、そのリリースが期待されている。


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関連リンク
▼ CLIE製品ページ

[濱田宏貴, ITmedia]

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