今後の携帯標準Java「MIDP2.0」がスタート今後の携帯Javaの標準仕様となる「MIDP2.0」がリリースされた。現在MIDP1.0を採用している国内キャリアも、折を見てMIDP2.0に移行する見通し。MIDP2.0はどんな特徴を持っているのだろうか?
携帯電話向けのJavaの標準仕様である「MIDP」(用語)の次期バージョンがリリースされた。現在、各キャリアによって規格が乱立している携帯Javaだが(2001年12月の記事参照)、この「MIDP2.0」で標準化を図る。 11月末のリリース後、いち早くMIDP2.0対応のJava VM「JBlend」を開発したアプリックスに(12月11日の記事参照)、MIDP2.0の特徴と今後の携帯Java状況を聞いた。
広く普及した携帯Javaだが、現状は各キャリアごとに仕様が異なっており互換性は取れていない。 一応、標準的な仕様としてMIDP1.0が1999年に策定されたが、各社の利害を調整したり、ページャーなどの小型機器もターゲットとしたため、極めてミニマムな仕様になってしまった。結果、MIDPを採用したキャリアも独自の拡張仕様を追加して利用しているのが実情だ。 アプリックスの児島昭夫副社長は、「MIDP1.0はかなり急いで作ったので、そのままでは使い物にならない。どちらも拡張部分をかなり足さなければならなかった」と説明する。
しかし、プラットフォームによらない互換性の高さは、Javaの理念の1つでもある。Javaアプリケーションを提供する企業も、通信キャリアも標準的な仕様が決まっていたほうがありがたい。 そんな中2002年11月に、「全部を包括できる仕様がないか?」(児島氏)ということで策定されたのがMIDP2.0だ。
MIDP2.0では、大きく3点が改善されている。 ユーザーインタフェースは、これまで仕様の貧弱さが指摘されてきた点の1つだ。アプリックスのES研究開発本部部長の辻邦彦氏は「ボックスを縦一列にしか並べられない。ボタンという概念がない。複雑なアプリケーションを作るのは難しかった」とMIDP1.0について説明する。MIDP2.0では、さまざまな配置が可能になり、大きく表現力が増した。「ボタンに画像を貼ったりする機能は、ドコモのDoJaにもない」(辻氏)。
ゲーム向けのAPIも、大きく強化された部分だ。辻氏は「J-フォンのJava仕様の、さらに上位になるような機能が、事実上の標準として付いてくる」と話す。 具体的には、背景とスプライトの重ね合わせが可能になる。J-フォンの2Dスプライトよりも自由度が高く、「スプライトの大きさ、個数も規定がない」(アプリックスES研究開発部の高桑茂樹氏)。背景は「タイルドレイヤー」になっており、スクロールさせるのも容易だ。「ピクセル単位の当たり判定が入った」(高桑氏)のもゲームを強く意識した部分となる。
メロディの再生も、ビープのみだったMIDP1.0から「MIDI、PCMも再生可能」(辻氏)になるなど強化。さらにMIDP2.0対応JBlendでは、「ストリーミング動画などを含んだメディアコンテンツのフレームワーク」(辻氏)であるモバイルメディアAPI(JSR135)もオプションとして提供される。 もう1つは、セキュリティ面の改善だ。MIDP1.0ではSSLがサポートされていなかった。MIDP2.0では、「HTTPS通信をサポート」(辻氏)し、さらに「トラステッドミッドレッドをダウンロード時に認証」(辻氏)する機能が追加されている。KDDIは独自にSSL通信をサポートし、アプリケーションをダウンロード時に認証する仕組みも既に用意している。MIDP2.0では、こうした仕組みを取り込んだともいえる。
大きく独自仕様を付け加えなくても利用できる標準仕様としてMIDP2.0はかなり強力なようだ。「使い物になるレベルにはなっていると思う。ドコモの最初の仕様は超えている」と辻氏は評価する。 当然、「(欧州などの)Javaの新規採用キャリアは、MIDP2.0にオプションを加えながら利用していくだろう」(児島氏)というのが自然な流れだ。 さらに「MIDP1.0は、互換性を維持したままでMIDP2.0にアップデートしていくことが可能」(辻氏)であるため、KDDIやJ-フォンなどMIDP1.0採用のグループは、折を見てMIDP2.0に移行する可能性が高い。J-フォンサービス開発本部長の桑折恭一郎氏は、3Gサービス発表の場で「WAP2.0やMIDP2.0も開発スケジュールに載っている」と話している(12月3日の記事参照)。 アプリックスが早々とMIDP2.0対応JBlendを開発したのも、早期の移行を睨んでのことだ。辻氏は、「早ければ2003年中にも(MIDP2.0対応機が)出てくるのではないか」と予想している。
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