Mobile:NEWS 2003年4月23日 02:39 AM 更新

ケータイ技術研究所
504iS、FOMAのiアプリ速度を比較する

恒例のiアプリベンチマークテストを、FOMAおよび504iSシリーズについてお届けする。カメラ付きiアプリ端末の6機種のうち、最もiアプリが高速な端末はどれだろうか

 端末によって、iアプリの実行速度が大きく異なるのは、よく知られるところ。これまで「503iシリーズ」(2001年3月の記事参照)や「504iシリーズ」(2002年6月の記事参照)のベンチマーク結果を紹介してきた。今回は、30万台を突破したFOMAも含めて、カメラ付きiアプリ端末6機種のiアプリ速度をテストした。

富士通、強し──F504iS&F2051

 ベンチマークテストは、Javaの各命令を実行させてかかった時間を計ることで行った。テスト項目は大きく3種類ある。数値演算の速度を測る「Java VM」、画面描画の速度を測る「Graphics」、メモリとのデータのやり取りの速度を測る「I/O」だ。

 各命令にかかった時間を合計し、機種ごとに並べたのが以下のグラフである。なお、テスト内容は「504iシリーズ」のものと同様のため、前回の記事と数値を比較することで、どの程度高速化が図られたかも分かる。

Java VMテスト結果


テストの詳細はこちらのグラフを参照

 Java VM──数値演算など基礎的な速度のチェックでは、富士通製端末がほかを圧倒する強さを見せた。最速は「FOMA F2051」、それに「F504iS」が続く。

 F504iSは日立製のアプリケーションプロセッサ「SH-Mobile」(2002年6月の記事参照)を搭載しており、その速さが発揮された格好だ。FOMA3機種で少々解せないのは、「P2102V」「F2051」「N2051」共に、アプリケーションプロセッサとしてTI製の「OMAP」を搭載しているにも関わらず(2月18日の記事参照)、速度が大きくばらついた点。ハードウェアだけでなく、各社のソフトの作り込みで差がつくことが分かる。

Graphicsテスト結果


テストの詳細はこちらのグラフを参照

 画面描画の速度については、「504iS3機種とFOMA3機種の中では、P504iSが圧倒的に速い」(iアプリ開発に詳しいソフト技術者)。FOMA3機種の中では「N2051」が高速だが、大差がつくほどではない。

 テストの詳細を見ると、画像描画と線描画で異なる傾向が出ている機種もある。「Fは504iSもFOMAも画像描画系以外は速い」(同)作りになっており、アプリケーション次第で速度に違いが出てきそうだ。

 NECとパナソニックは3G端末の基本ハードと基本ソフトの開発で協力しており(2001年8月の記事参照)、今回のFOMA2機種もソフトウェア構成はそっくりだ。しかしベンチマーク結果には差がついた。「FOMA3機種で見ると、なぜかF2051は画像描画だけが遅い。N2051とP2102VではN2051のほうが全体的に速い。ソフトは同じはずなのでハードの違いによるものと思われる」(同)。

I/Oテスト結果


テストの詳細はこちらのグラフを参照

 iアプリが保存領域として利用するメモリ──スクラッチパッドとのデータのやりとりの速度を計測したのがI/Oテスト。最速は「P504iS」だ。

 こちらもテストの詳細を見ると、機種ごとに得意・不得意の分野があることが分かる。「N2051が一番速い結果となったが、着メロのスクラッチパッドからのロードがなければ、F2051がダントツに速い。FはF504iSもF2051も同じ傾向」(同)。

 また「N504iSはスクラッチパッドへのアクセスが圧倒的に遅い。N2051もP2102Vもスクラッチパッドへのアクセスは速くないので、Nのソフトの特徴と考えられる」(同)。


 ベンチマークをトータルで見ると、富士通製端末「F2051」と「F504iS」がいい成績を出している。逆に「N504iS」は、3種類のテストそれぞれで最も遅い結果であり、トータルでも大きな差がついた。実際にiアプリを動作させてみても、十分に体感できる速度差である。

 504iSシリーズに比べて、FOMA3機種はばらつきはあるものの、大きな差は出ていない。ただし、すべてがOMAPプロセッサを搭載し、N2051とP2102Vで基本ソフトの共用が図られている割には、違いがありすぎるともいえる。

 iアプリの速度は、ジャンルによっても異なることには注意してほしい。実用ソフトとゲームでは頻繁に利用する処理が異なる。数値演算が中心のアプリケーションではJava VMの速さが全体のパフォーマンスを決めるし、ゲームなどでは総合的な速度が重要になるかもしれない。また開発時に、その機種の苦手な処理を避けるように工夫することで、高速に動作させることもできるだろう。

3D結果は速度だけでなく、ばらつきに注意

 504iシリーズ以降、iアプリからエイチアイ製の3Dポリゴンエンジンを利用できるようになっている。今回、3Dの速度も計測してみた。


 トータルで早かったのは「N2051」と「F504iS」。しかし、個別の数字を見ていくと状況は異なる。「個別に数字を見てみると、Nはどれも実行速度が安定しているので処理負荷の目処が立てやすく、Fはその逆でムラはあるがどれも速い、そしてPはその中間(F寄り)といえる。PやNがcalculate(arg1)、calculate(arg1, arg2)という2種のメソッドに対してほぼ同じ実行速度なのに対して、Fでは一貫して引数が2つのメソッドのほうがかなり速く実行できているというのは面白い結果」(同)。  また、全体としてはFOMAの3D描画はかなり高速化しているといえる。

 今回テストした6機種のiアプリ基本スペックは以下の通り。

P2102VF2051N2051F504iSP504iSN504iS
保存件数15−455−10015−4522−15020−20015−45
ヒープ(Javaヒープ/ネイティブヒープ)760/1228600/700760/122815001500544/1030

この企画は、雑誌『iモードスタイル』(ソフトバンク パブリッシング刊、毎月23日発売)との共同企画です。今回のテストでは、携帯向けJavaプログラミングに携わる企業の協力の元、各端末でベンチマークソフトを動作させ、速度を計測した。各ベンチマークの単位はミリ秒となっている。
(注)結果中測定値が0というものがいくつかありますが、Fは一瞬で完了、Nはタイマーの精度(100ms)以内に完了したことを意味します。NのJavaはタイマーの精度が100msなので、全体的に速めの結果になっている 可能性がある



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[斎藤健二, ITmedia]

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