名機か迷機か? 新スタイルCLIE「PEG-UX50」を試す(3/3)無線LANは基本的にメーラーやブラウザ、HotSyncなどを起動すると自動で接続し、完了すると自動で切断する。バッテリーの無駄な消費を可能な限り回避するようになっているためだ。 しかしメモリカード型通信カードはともかく、携帯やPHSといった通信手段を基本的にサポートしないのは、かなり思い切った割り切りだ。正確にはBluetooth対応の携帯電話、PHSは利用できるのだが、携帯電話ではau端末+Bluetoothアダプタ、PHSもドコモのパルディオ633S程度しか利用できない。auのA3014S+Bluetoothアダプタを使って接続を試すと、問題なくインターネット接続は行えた。
CFタイプの一体型通信カードをBluetoothで接続可能とするアダプタも発売されているが、もともとDVカメラ用のため、周辺機器としてはリストアップされておらず、動作は保証されていないようだ。 無線LANが利用できるホットスポットも着実に増えてはいるが、「東京都23区内でも主要駅なら徒歩圏にある」といった程度で、首都圏以外の地域ではまだまだ手軽な通信手段とはいえない。今年はホットスポット自体は増加しそうだが、地方においては出先でのインターネット接続は極めて限られると思ったほうがいいだろう。 せめて従来CLIEのようにクレードルと接続するためのシリアルポートが存在すれば、マスターが販売するDPCケーブルのように音声端末を利用したAirH"利用なども期待できるのだが、UX50にはUSB Bポートしかない。USB OTG(用語参照)に対応していれば対応通信ケーブルも期待できそうだが、現状では希望的憶測でしかない。 本体底面に取り付け可能なCFアダプタなども期待したいところだが、UX50の底面には充電用の端子しかない。どうもサードパーティ製品を含め、このあたりへの期待は持てないようだ。
見えない部分での特徴として挙げられるのが、NX/NRシリーズ、TG50で採用されたIntel製PXA250ではなく、CPUに自社製の“CXD2230GA”通称“Handheld-Engine”を搭載した点だ。1チップにCPUコア、DSP、メモリ、さらにカメラやメモリースティックコントローラまでを内蔵し、広帯域なバスで接続することで低クロックでも高い処理能力を発揮するようになっている。 Handheld-Engineの最大クロックは123MHzと控えめだが、実際利用していて特に動作が緩慢と思う部分はほとんどない。Webブラウザの「NetFront」やデータビューワの「PixelViewer」の終了時にちょっと間がある感じはするが、許容範囲だ。PIMなどはもともとPalm OS自身が軽快なこともあって、NXシリーズなどと比較して遅いという印象は受けない。 UX50の用途して期待されるのがシリコンオーディオプレイヤーやビデオプレイヤーとしての利用だろう。NX/NRシリーズが高い動画再生能力を備えていただけに、よりコンパクトなUX50を「モバイルビデオプレイヤーに」と期待する向きは多そうだ。 128Mバイトのメモリースティックにイメージコンバータの“高画質”(384Kbps、100Mバイト強)で作成した30分ほどの動画ファイルを連続再生させてみたところ、2時間再生してバッテリー残量は32%。バックライトは中間、ボリュームはヘッドフォンの利用を想定して最大の3分の1程度の設定だ。 内蔵バッテリーだけで約2時間半程度は動画再生が可能といったところで、大容量バッテリーを利用すればおそらくこの倍以上の時間、動画の再生が可能ということになる。動画再生以外にどの程度利用するかにもよるが、通勤中に片道1時間ずつ動画を見て、あとはPIMとして利用するくらいなら十分1日利用できるだろう。
難点はファイル形式が独自であることだ。付属のImageConverterを使えば容易にMPEG-4ベースのMoviePlayer形式に変換できるが、これはMPEG-1、AVIファイルしかソースとして利用できない。MPEG-2は変換できないし、AVIファイルでもサポートするのは基本的なタイプのみで、DivXなどでエンコードされたAVIファイルには対応していない。 例えば自宅のPCで録画した番組をUX50で楽しもうと思ったら、最初からMPEG-1で録画するか、事前にMPEG-1に変換する必要がある。ほとんどのテレビチューナーカードがMPEG-2録画になっている現状を考慮すると、ここは改善してほしいところだ。バイオユーザーならGigaPocket用のプラウグインが用意されるため自由度が高いが、このためにわざわざバイオを買う人はそういないだろう。
UX50は新CPUの搭載や新しいデザインに見られるように、ソニーの強いこだわりが見える製品だ。コンパクトで長時間動作するマルチメディアプレイヤーとしての魅力を備え、快適な文字入力もサポートしている。このサイズの中に無線LANを内蔵したのも画期的だ。 半面、このこだわりが違和感を生んでいる感も否めない。オープンスタイルでも文字入力以外の操作は基本的にジョグダイヤルで、せっかくの使いやすいキーボードが生かされていない。携帯電話やPHSでのインターネット利用できない点も、インターネット端末としての魅力を損ねている。ホットスポットがまだまだ一般的ではない現状では、早すぎた端末という印象も受ける。 ソニー流のこだわりの名機なのか、こだわりすぎた迷機なのか──。使い方で評価が大きく分かれる製品といえそうだ。 関連記事 写真で見るCLIE「PEG-UX50」 手のひらサイズの小さなCLIE「PEG-UX50」がまもなくお目見えする。ターンスタイルを採用した新しいCLIEを写真で見ていこう。 PHSを捨てて無線LANを選んだNEW CLIEの判断は? 5月の「経営方針説明会」(PSXの電撃発表が記憶に残っているが)の席上で、モックが紹介されたNew CLIE。このNew CLIEがUX50として早くも登場。「携帯AV機器とモバイルITの融合」を目指したNew CLIEの答えは「PHSを捨てて無線LAN」だった。 Handheld EngineがいるからUX50がいる New CLIE「PEG-UX50」のために新たに開発されたHandheld Engine。この存在がUX50の小型化を実現し、長時間駆動とパフォーマンスを両立させた。このキーバーツの構造とパワーマネジメントの仕掛けについて紹介しよう。 写真で見る、クラムシェルCLIE「PEG-UX50」 CLIE専用のアプリケーションCPU「Handheld Engine」を搭載した「PEG-UX50」は、横長ディスプレイにキーボードが搭載され、従来CLIEとは大きく異なる形状になった。詳細を写真で見ていこう。 横長液晶の新CLIEが登場 独自の新CPUを搭載 クラムシェル型デザインに横長液晶とキーボード、CMOSカメラを搭載し、無線LAN&Bluetooth通信機能も内蔵。ソニー独自開発の「Handheld Engine」アプリケーションCPUを採用している。 「ソニーショック」への回答は「商品力」と「第2次構造改革」 先日の発表で減収減益となったソニーの決算内容は、当事者以上に、日本の製造業界に大きな衝撃を与えた。このソニーショックを払拭すべく行われた「2003年経営方針」で示されたのは、高収益事業へのリソース集中と魅力ある「商品力」をもった新製品だった アプリケーションも進化〜クラムシェルCLIEのソフト [坪山博貴, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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