最大2.4Mbpsの「PacketWIN」を試す(2/2)接続速度検索サイトを利用してみると、受信で最大705Kbpsを記録し、複数回行っても大きく変動することはなかった。最大理論値2.4Mbpsの3分の1以下ではあるが、これだけの受信速度が出ているとまさにブロードバンドといえるだろう。
このように“Radish Network Speed Testing”では安定して受信700Kbps近くを記録。送信も100kbpsオーバーを記録している。リポート結果でau.net経由であることが分かる またインターネット上から500Kbps程のストリーミング動画の再生も行ってみたが、まったく問題なくスムーズに再生が行えた。静止状態であれば通信速度もかなり安定しているようだ。現状では同じチャネルを利用しているユーザーがほとんどいないということもあるのだろうが。 ちょっと気になるのは“標準PCカードモデム”、つまりシリアルポートとして動作しているのに、700Kbpsもの通信速度が出るのかという点だ。今回は付属のユーティリティを使ってダイヤルアップネットワークのエントリーは作成したが、モデムのプロパティとしては端末速度は115.2Kbpsに設定されたままであり、このままではこの端末速度が通信速度の上限になるはずだ。 しかし、この点は心配なさそうだ。どうやら見かけ上の設定に比例し、内部での通信速度はずっと高く設定されているようだ。試しに端末速度を115200bpsより極端に低く設定してみたところ、受信速度に大きな変化が見られた。モデムとしては標準的な115200bpsに設定しておけばなんら問題はないだろう。
左が2400bps、右が9600bpsに端末速度を設定した場合。受信速度は端末速度にある程度比例して変化しているが、端末速度をはるかに超えた受信速度だ
「PacketWin」や「CDMA 1x WIN」の利用可能エリア──受信最大2.4Mbpsでの通信が可能なエリアは、現状東名阪で人口カバー率70%程度だ。筆者宅でもどうやらCDMA 1xでしか接続していなかったようなので、赤坂にある編集部へ車で移動しつつ、その通信速度を確認してみた。
駅前、交差点などを中心に静止した状態で通信速度のチェックを行ってみたが、9ポイント中、最大2.4Mbpsで接続したのは五反田駅前とソフトバンクパブリッシングビルの2地点だけだった。念のため1地点で3度ずつ接続と計測を行い、外部アンテナも利用している。まだまだサービス開始されたばかりであり、基地局整備の真っ最中というところだろうか。 なお「PacketWIN」では受信最大2.4Mbpsのエリアからエリア外に通信中に移動した場合でも、自動で受信最大144Kbps(または64Kbps)にハンドオーバーして通信を継続する。逆に受信最大144Kbpsで接続中に受信最大2.4Mbpsのエリアに移動した場合は通信方式は切り替えず、そのまま(受信最大144Kbpsのまま)通信を継続するので通信速度が重要な場合には注意が必要だ。今回の検証中はポイント間も意図してインターネットに接続したままにしておいたが、強制的な切断が発生したのは1度だけだった。
「PacketWIN」はサービス開始直後ということもあり、受信最大2.4Mbpsを利用できるエリアはまだまだ狭い。しかし2004年3月には全国で人口カバー率70%となる予定で、急速な利用可能エリアは広がる。そしてauの音声端末が利用可能な場所であれば悪くても最大で受信64Kbps/送信14.4Kbpsのデータ通信が行える。この点はシームレスにサービスを拡大しているauならではのメリットだ。 もっとも従来の「PacketOne」方式で接続した場合と、「PacketWIN」本来の受信最大2.4Mbpsで接続した場合のWebアクセスの快適さは格段に違う。パケット課金なので同じ情報量を得るために必要な料金は同じなのだが、やはり早急に利用可能エリアの拡大を望みたい。 また快適ゆえに、料金がさらに気になるのは事実だ。最も割引率の高い「パケット割WINスーパー」を使っても、7500円/月の定額料金内でのデータ転送量は約60Mバイトで、これを超えた分は1Mバイトあたり約123円のパケット料金が発生する。現状では(auから見て)コスト高のcdmaOne、CDMA 1xで通信を行うエリアがまだまだある以上、料金の値下げが容易でないことも想像できるが、エリア拡大と共に、通信料金の値下げやさらなる割引サービスの拡大などに大いに期待したい。
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