さらに伸びた待受時間~900iのスペック変更点(2/2 ページ)
ドコモの新FOMA「900iシリーズ」の発売を目前にして、全5機種の最新スペックが出そろった。目玉は、待受時間などがさらに伸びたこと。「P900i」では静止時500時間に達した。“静止時”“移動時”の違いも含めて、900iシリーズのスペックを考察する。
「細かい電力制御を行うようにした。コンマ数ミリアンペア単位で消費電流を見て、処理をこまめにソフトで制御している」と話すのはシャープ。同社は「SH2101V」というPDA型のFOMA端末を開発した実績があるが、今回の「SH900i」では通信チップもイチから作り直したという。
NECは「各チップの消費電力を減らす。基地局とのやり取りをいかにサボるか、うまく制御するようにした」と話す。W-CDMA方式では、通信に問題ない範囲でいかに処理をさぼるかが重要になる(2003年1月の記事参照)。2102Vシリーズなど2世代目のFOMAでも、ここが改良点だったが、3世代目のFOMAでもさらに改善が進んだ。
もうひとつ、忘れてはいけないのはバッテリーの進化だ。「2102Vで800mAhだったものを840mAhに上げて、同じサイズながらセルの密度を向上させた」とパナソニック モバイル。50xなど2GのPDC端末では600~700mAh(3.7V)の容量のバッテリーが使われることが多いが、FOMAは一回り容量の多い800mAhクラスを使っている。900iではバッテリーの大きさや重さを変えることなく大容量化を果たした。富士通も「小型化して容量も800mAhから830mAhに増えた」と話す。
端末名 | F900i | N900i | P900i | SH900i | D900i |
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容量 | 830mAh | 850mAh | 840mAh | 800mAh | 780mAh |
電圧 | 3.7V | 3.8V | 3.7V | 3.7V | 3.7V |
カメラ、着メロ、動画撮影~スペック諸々
カメラ関係のスペックは変更ないが、まとめておこう。
端末名 | F900i | N900i | P900i | SH900i | D900i |
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メインカメラ | 128万CCD | 100万スーパーCCDハニカム | 128万CCD | 202万CCD | 100万スーパーCCDハニカム |
オートフォーカス | × | × | ○ | ○ | × |
サブカメラ | 11万CMOS | 10万CCD | 11万CMOS | 11万CMOS | なし |
サブライト | ○ | × | × | × | - |
メモリ | miniSD | miniSD | miniSD | miniSD | メモリースティックDuo |
有効画素数で200万画素を超えるのは「SH900i」。N900iとD900iはスーパーCCDハニカムを使い、100万画素CCDながら出力200万画素を実現している。オートフォーカスは、P900iとSH900iの2機種が搭載。全機種、メインカメラ用のライトは搭載しているが、F900iはサブカメラ用のライトも用意した。
スペックで比較して一歩抜き出ているのはSH900i。「SH505iS」と比べても「(画質の選択肢に)より圧縮率の低い、SuperFineというモードを追加した」(シャープ)と、カメラにこだわっている。
端末名 | F900i | N900i | P900i | SH900i | D900i |
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着メロ音源 | 64和音PCM | 50和音FM+WT | 64和音PCM | 64和音PCM | 48和音PCM |
端末名 | F900i | N900i | P900i | SH900i | D900i |
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動画最大録画時間 | 240分 | 約160分 | 142分 | 60分 | 60分 |
動画撮影フォーマット | 3GPP | MP4 | MP4 | MP4 | AMV(MP4) |
動画最大画像サイズ | QCIF | QCIF | QCIF | QVGA | QVGA |
900iシリーズは標準動画機能として、メール添付して送信できる「iモーション」撮影が行える。ファイルフォーマットはMP4(3GPP)、映像コーデックはMPEG-4、音声コーデックはAMRかAACを使う。
ほぼすべての機種が、独自の拡張により外部メモリカードを使った長時間・高画質の動画録画/再生に対応している。「3GPPではQCIF以上のサイズを定義していない」(三菱電機)ため、各社のフォーマットはバラバラだ。ただしMP4は3GPPと同等と考えていい。
「F900i」「P900i」「SH900i」「D900i」は、テレビ番組などをメモリカードに保存して端末上で再生することを想定している。F900i、SH900i、P900iは、SDカード上の動画フォーマットとして主流のASFの再生に対応。パナソニックやシャープの液晶テレビなどで録画した動画を再生できる。D900iは、各種動画を独自フォーマットAMV(MP4互換)に変換できる「Motion Smoothy」というWindows向けソフトを付属して販売する。「1時間(録画したテレビ番組を)見ても、1時間は通話できる消費電力」(三菱電機)だと言う。
またSH900iとD900iは、QVGAサイズの動画を60分間程度(128Mバイトメモリ)撮影することもできる。D900iは専用のケーブルを使い、撮影した動画をテレビに出力することもできる。
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