コラム

携帯日本語入力 進化の系譜~POBoxの現在(3/3 ページ)

ほかの目立った機能の陰に隠れながら、この数年に大きく進化した機能。それが携帯の日本語入力だ。進化の牽引役であった“予測変換機能”を軸に、各社の日本語入力機能の進化を見ていく。そしてソニー・エリクソンの「POBox」が、夏の新端末「SO506iC」と「W21S」でどのような進化を遂げたか見ていこう。

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今後の日本語入力の進化はどこにある?

 予測変換、入力環境──。完成の粋に近づきつつある携帯の日本語入力だが、次の一歩はどこにあるのか。

 ソニー・エリクソンの「SO506iC」のソフトウェア開発に携わった近藤和弘氏が、日本語入力のライバルと目するのがシャープとNECだ。

 注目点は日本語省入力環境「T9」(2002年8月21日の記事参照)。この完成度が上がっていけば、一気にスタンダードにのし上がる可能性もある。NECが採用したT9は、マルチタップ入力を行わず、「あかさたな」の行だけを使って文字を入力する。例えば「こんにちは」と入れたかったら、「2/か」「0/わ」「5/な」「4/た」「6/は」と入力し、候補の中から「こんにちは」を選ぶ。

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 従来、漢字を入力する際には、いったんひらがなを選び、さらに漢字変換を行っていたが、「N900iS」「N506i」では直接漢字の候補が表示されるようになった。

 シャープは「T9」ではないが、似た漢字入力方式を搭載している。文字を入力したあと、下ボタンを押せば予測変換、上ボタンを押すと「T9」的な変換を行うというモードレスなシステムだ。T9的な変換を予備的な位置づけにおけるため、NECほど完成度を高めなくても気軽に利用できる。

 日本語入力への工夫はこれらにとどまらない。「Advanced Wnn」を提供するオムロン ソフトウェアは、変換辞書のデータベース化も想定している。日本語入力に使うだけでなく、和英辞書などのエンジンとしても変換機能を使おうという試みだ。予測単語の精度向上の試みとして形態素解析エンジンを組み込み、メール返信時に元メールの単語を候補として表示することも可能とした(5月25日の記事参照)

 日本語入力が用いられる環境に応じて、予測候補を変化させるという試みも始まっている。シャープはアドレス帳の姓名入力時は、予測候補を人名単語に絞るという試みを「SH506iC」から行っている。東芝はMobile Rupoでメール作成時の相手に合わせて学習を切り替えるという試みに取り組んでいる。

 日本語入力は目立たない部分ではあるが、ユーザーの使い勝手に直結する部分でもある。さらにほかのマルチメディア機能とは違い、“新しいハードウェアを載せました”では解決できない、ノウハウの積み重ねが必要とされる。引き続き、日本語入力の進化について随時レポートしていく。

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