定額制+フルブラウザで、既存の収益モデルが崩壊する:2004年を振り返る(3/3 ページ)
何回コンテンツを見ても、月に支払うデータ通信料は一定。パケット定額制が普及した2004年は、携帯キャリアやコンテンツホルダーがビジネスモデルの転換を迫られた年でもあった。
定額制+フルブラウザの導入で、コンテンツのビジネスモデルも変わる
ユーザーにとって“パケット料金を気にせずコンテンツを楽しめる”というメリットがある定額制は、ユーザーの携帯コンテンツへの接し方を大きく変えた。「パケット定額制の利用者のうち、73.7%は週4回以上、さらにそのうち23.1%は1日9回以上携帯サイトを見にいく」というアンケート結果も出ている(11月17日記事参照)。
この恩恵を特に受けそうなのが、物販や広告業界だ。データ通信料を気にしなくてよいとなれば、画像を多用でき、より訴求力のあるサイトが作れる。amazon.co.jpなど、既にPC用サイトで定評のある企業が、携帯版サイトの増強に力を入れる動きが出てきている。2005年は今まで以上に、携帯でのショッピングが盛んになりそうだ。
しかし、やはりここでも問題になるのがフルブラウザである。これまで携帯向けのコンテンツは、キャリアの用意するポータルサイトから、限られた有料コンテンツへ誘導していく「ゲートウェイモデル」の上に成り立っていた。無料のものが多いPC用コンテンツをフルブラウザで自由に見られるようになったら、携帯のゲートウェイモデルは崩壊しないのだろうか。
「有料で見られるものと無料で見られるものをコンテンツプロバイダ側で調整し、(有料コンテンツに)HTMLビューワから来たら弾いてしまえばビジネスになる」という考え方もある(6月28日の記事参照)が、現行でそれができているブラウザはない。定額制によってユーザーが携帯でコンテンツに接する機会が増える半面、フルブラウザでアクセスしてきたユーザーをどのように携帯コンテンツへ誘導するのか。その答えを出すことが、携帯コンテンツ業界にとっては2005年の課題になりそうだ。
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