「MNPでは絶対に結果出す」──ソフトバンク株主総会
ソフトバンクの定時株主総会で、孫社長はボーダフォン買収のメリットと今後の成長戦略を説明。10月に迫る番号ポータビリティについては「チャンスであり、リスクでもあるが、絶対に結果を出す」と約束した。
ソフトバンクの定時株主総会が6月23日、都内で開かれた。孫正義社長は、ボーダフォン買収という形で携帯電話事業に参入することに対し、メリットを説明して株主に理解を求めた。10月に迫る番号ポータビリティ(MNP)については「チャンスであり、リスクでもあるが、絶対に結果を出す」と約束した(関連記事参照)。
「ゼロから自前でやるか、買収するか。選択肢を真剣に考えた。そもそも参入すべきかも役員会で相当議論した」──最終的にボーダフォン買収に踏み切ったのは、約1500万人のユーザーベースや99.9%の人口カバー率など、ボーダフォンが築いてきた資産を手に入れるためだ。
すべてをゼロから構築する場合、莫大な投資負担と労力など、大きなリスクを取る必要がある。今回のスキームでは、買収額1.7兆円のうち、ソフトバンクの持ち出しとなるリスクマネーは実質2000億円で済む。ゼロから参入した場合の必要資金として試算した「3000~6000億円」を下回ることになる。
「Yahoo!BBでは先行投資で赤字化するなど、大変な経験をした。苦しみを少なくわれわれが考えるサービスを早く提供したかった」。そのサービスとは「モバイルブロードバンド」。クローズドなパソコン通信からインターネットへ、ナローバンドからブロードバンドへ──PCの世界で起きた流れが、携帯にも押し寄せるという予測だ。
「AQUOSケータイ」は「いいものですよ」
NTTドコモ、KDDIという強力なライバルに対抗するため、(1)3Gネットワークの増強、(2)3G端末の充実、(3)コンテンツ強化、(4)営業体制・ブランディング強化──という「4つの施策」を実行する(関連記事参照)。「4つしかなく、逆に言うと4つだけやればいい」。これらは「MNPが始まる10月に焦点を当て、可能な限り前倒ししていく」構えだ。
だが、株主からは「MNPで逆にユーザーが流出するかもしれない。ドコモやauに対抗する方策を1つでも教えてほしい」という声が上がった。孫社長は「具体的にキラーコンテンツをどうするか、などは企業秘密」として明かさなかったが、「絶対に結果を出す」と自信を見せた。
弱点と指摘されてきた端末では、「AQUOSケータイ」として登場した905SHが「大変好評で、テレビケータイでは日本一の人気」という。孫社長も使っているといい、「従来の携帯テレビと違ってきれいな映像を楽しめる。なかなかいいものですよ」と株主に勧めた。
同社の株主は約44万人で、総会には2272人が出席。元ゴールドマン・サックス証券社長のマーク・シュワルツ氏を取締役に選任する案など3議案を原案通り可決し、2時間39分で終了した。
この日、ソフトバンクの株価(東証1部)は前日比35円高の2520円。
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