“カラーバリエーション”でブランド価値を上げたソフトバンクモバイル:Mobile Weekly Top10
今回のアクセスランキングでトップを獲得したのは、ブランド危機に瀕したドコモが打ち出した“新ドコモ宣言”の記事。ブランド訴求の方法は各キャリアごとに異なるが、ソフトバンクがブランドの価値を上げた要素の1つは“多彩なカラーバリエーションの訴求”だった。
+D Mobile Weekly Access Top10
2008年04月17日~2008年04月23日
- 「手のひらに、明日をのせて」──ドコモ、赤い新ロゴで“新ドコモ宣言”
- ドコモ、長期契約ユーザー向け優遇策拡充──1年利用でバッテリー進呈など
- 「うちの端末もこんなに薄くなるんだ」と驚かれた、auの薄型ワンセグ──「W61P」
- デモ機で検証する「WILLCOM D4」(前編)
- 動画で見る「WILLCOM D4」
- 3インチ有機ELのフルスライド――「W61SA」、4月17日から順次発売
- 「K」と「SA」のケータイが家族に――「W61SA」、京セラ端末としてデビュー
- 「新たなドコモブランド」の狙いと、込められた思い──NTTドコモ 荒木氏に聞く
- ケータイの売れ筋、ビジネスユーザー向けと“らくらく”系に変化
- これはPCなのかケータイなのか、それとも──「WILLCOM D4」が開拓しようとする新市場
今回のアクセスランキングでトップを飾ったのは、ドコモの新たなブランド戦略「新ドコモ宣言」のトピックだった。携帯業界のビジネスモデルが変革期を迎える中、ドコモは“新規契約獲得重視”という従来型のビジネスモデルから、顧客本位の戦略に舵を切る。
この宣言は(1)ブランドを磨き直し、顧客との絆を深める(2)顧客の声をしっかり受け止め、その期待を上回る会社に変わる(3)イノベーションを起こし続け、世界から高い評価を得られる企業を目指す(4)活き活きとした人材であふれ、同じ夢に向かってチャレンジし続ける会社になる――という4点を柱に、顧客満足度を高めるための取り組みを行うもので、その具体的な施策の中には顧客窓口の対応強化も含まれる。高度で複雑な問い合わせに円滑に対応できるよう、フロントに対するサポートを強化するとしており、一ユーザーとしては、この施策で問い合わせの待ち時間が短くなることを期待したいところだ。
ブランド力の向上で思い浮かぶのが、ソフトバンクモバイルの端末戦略。“予想外”の20色展開で世間を驚かせた「PANTONEケータイ 812SH」を皮切りに、多彩なカラーバリエーションの端末を次々と市場に送り出して大きな注目を集めた。
それまでのソフトバンクモバイルは、端末ラインアップもカラーバリエーションも他キャリアに比べて貧弱な感は否めず、ソフトバンクモバイルの孫正義社長は2006年5月に発表した“4つのコミットメント”の1つに「3G端末のラインアップの充実」を挙げていた。
同社の端末イメージは20色から選べる812SHの投入を境に向上し始め、それがブランド力の向上にもつながるという結果をもたらした。同社でマーケティング・コミュニケーション統括部長を務める栗坂達郎氏も、Design for Asia Award 2007の受賞インタビューで「812SHを投入して大きく変わったのは、お客さんのソフトバンクモバイルに対する反応です」と話している。
このソフトバンクモバイルの躍進を陰で支えたのが、KDDI時代にau design projectを率いていた小牟田啓博氏だ。2006年4月末にKDDIを退職した小牟田氏は、デザインとブランドコンサルティングを手がけるKom&Co.を設立し、812SHからソフトバンクモバイル端末のコンサルティングを開始。「ビジュアル=ブランド」という切り口で、ソフトバンクモバイル端末のデザインをサポートしている。
812SHの投入時には、売れる色や売れない色が出てくるといった問題や在庫の問題が懸念されたが「こうした取り組みそのものがブランドのPRになる」と考えたと小牟田氏。この成功が、「THE PREMIUM 820SH/821SH」や「FULLFACE 913SH」「THE PREMIUM TEXTURE 823SH」といった端末の投入につながったと振り返る。
以前、小牟田氏にインタビューした際に「デザイン戦略は、auにはauに、他キャリアには他キャリアに最適化したやり方がある」という話を聞いたことがある。ソフトバンクモバイルではカラーバリエーションを軸とする戦略で、ブランディングを成功させたといえそうだ。
関連キーワード
ブランド戦略 | ソフトバンクモバイル | 812SH | デザイン | NTTドコモ | ビジネスモデル | THE PREMIUM 820SH | THE PREMIUM 821SH | THE PREMIUM TEXTURE 823SH | FULLFACE 913SH | au design project | 新ドコモ宣言 | PANTONE
関連記事
孫社長が掲げる“ボーダフォン4つの約束”
「買ってよかった」。巨額の買収に踏み切ったソフトバンクの孫社長は、3Gネットワークや端末ラインアップの強化など、ボーダフォン改革に向けた「4つのコミットメント」を明らかにした。「これからが、我々の本当の力の見せ所」──ソフトバンク孫正義氏
ソフトバンクは5月8日、2007年3月期の決算を発表。孫正義社長は、ボーダフォンジャパンの買収が正しい選択だったこと、そしてソフトバンクグループの総力を挙げて不退転の覚悟でモバイル事業を推進していくことなどを語った。“カラバリ20色のインパクト”がソフトバンク端末のイメージを変えた――ソフトバンクモバイルの栗坂氏
これまでに例がない20色のカラーバリエーションで登場した“PANTONEケータイ”こと「812SH」。この端末の登場をきっかけに、ユーザーがソフトバンクモバイル端末を見る目が変わったと執行役員の栗坂氏は振り返る。この端末の開発背景や、その後の影響について栗坂氏に聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.