P905iで妥協した“ほんの数ミリ”──「P906i」の進化の過程はここから始まった:開発陣に聞く「P906i」(4/4 ページ)
人気モデル P905iの“正常進化モデル”として登場したパナソニック モバイル製の「P906i」。多くのユーザーに支持されたP905iに何が足りなかったのか、P906iはどこが進化したのか。パナソニック モバイルのP906i開発チームに話を聞いた。
よく使う機能は、「それ以外必要ない」ほど高機能に
メインカメラはP905iと同じ、携帯カメラとしては最高クラスの有効510万画素CMOSだが、顔認識オートフォーカス+オート露出機能を新たに備えた。パナソニック独自の顔認識と階調補正技術により、ファインダー内の顔を最大5人まで自動検出し、ピントを合わせるポイントを自動追尾するとともに、(複数の顔が検出された場合はその中の1人に)適切な露出へ調整するものだ。
この階調補正技術は逆光や日陰、曇りの日の撮影も背景を白飛びさせることなく、きれいな顔色、肌色になるよう自動補正するようチューニングを施したという。
「このカメラは、“これだけメインで使っていただける”ほどの性能にしました」(大平氏)
動画撮影機能も最大640×480ピクセル(VGA)やハーフVGAワイド(640×352ピクセル)/30fpsの動画が撮影可能。動画の撮影中、常にピントを合わせ続けるコンティニュアスAFにも対応する。
「カメラ機能は、LUMIXなどパナソニックが蓄積する技術やノウハウを用いています。携帯の顔認識AFは他社さんに先にやられてしまったこともありまして(笑)、他社さんの同じ機能より認識率が高く、自動的に“よりきれいな写真に補正する”機能も含めて満足のいく機能になったと思います」(松尾氏)
ワンセグのフレーム補間技術や顔認識AF技術など、1つ前のモデルで“携帯初”だった機能は、数カ月後に登場する新機種で“当たり前”になってしまうほど競争が激しい携帯開発の現場。そこに“人の心に響く”新機種を数カ月ごとに投入するのは、なみ大抵の努力ではすまないことだろう。
P906iの進化は“たった数ミリ”の出っ張りをなくすことに始まった。これを軸に浮かんだ新たなアイデアから“どう使いやすくするか”についての機能向上に努めた。その結果、P905iの弱点や妥協を解消するさまざまな進化につながった。
こうして生まれたP906iをユーザーはどう評価するだろうか。ドコモの906iシリーズは夏モデルの発表から日をおかず発売され、中でもP906iは906iシリーズ一番乗りの6月1日に発売された。906iシリーズはとりあえず、おおむね出足が好調のようである。
「P906iは、P905iの正常進化型としてかなりの完成度に仕上がりました。まだ“VIERAケータイ”をお持ちでない人にぜひ使ってもらいたいと思います」(松尾氏)
カスジャケとBluetooth、そして「iL」
かつての“P”端末に採用した機能に、外装を着せ替えできる「カスタムジャケット」がある。2008年夏モデルはソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製端末「SO706i」やau向けの「フルチェンケータイ re」に似た機能が備わる。
「カスタムジャケットは、一応開発当初の議題としては上がりました。ただ、厚くなってしまうことと、それが本当に“売り”になるのかを検討した結果、採用は見送りました。」
906iシリーズは“P”端末以外に「SH906i」など、Bluetooth搭載機種が増えた。P906iはSH906iに備わる、外部のBluetoothキーボードで操作できるHIDプロファイルは備えないが、新Bluetoothレシーバー「ワイヤレスイヤホンセット02」(ドコモの標準オプション品として展開する、SH906iなどのBluetooth対応端末でも使える)を投入し、接続の手間も従来の機種より楽になった。他社製Bluetooth対応機種ではできる機種もあった「Bluetoothレシーバーの操作だけで音楽再生開始」に対応した。
そのほか、今回のP906iシリーズは「iTV」などの企画端末を投入しない。ドコモの新サービス「ホームU」に対応する無線LAN搭載端末「N906iL onefone」などはどう思っているだろうか。
「うーん。弊社もやらざるを得なくなるのですかね(笑)。商品ラインアップをどうとらえるかというのもありますので、コメントは控えます」
──冬に期待してくれ、ということですかね。
「ははは(笑)。ノーコメントです」
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レビュー:写真で解説する「P906i」
好評のWオープンスタイルはそのままに1.1ミリの薄型化を果たし、デザインの小リニューアルを行った“P905iの正常進化モデル”がパナソニック モバイルの「P906i」。P905iTVなみのワンセグ性能、顔認識AF付きカメラ、そして横向きのヨコオープンスタイル用インタフェースなどを新たに備え、細かい機能や使い勝手がかなり進化した横向きUIとワンセグ強化で“Wオープン”デザイン洗練──「P906i」
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あと、足りないものは何か──。そうあら探しをしてしまうほど「ほぼ全部入り」が特徴のパナソニック モバイル製端末「P905i」。フルワイドVGA、HSDPA、ワンセグ、Bluetooth、microSDHC対応、高画素カメラ、WMV再生、そして特殊ギミックなど、なかなか“グッ”と来る機能を備えて登場する。インタビュー:“魔法のフック”の半分は「安心」でできている──「P905i」、Wオープンスタイルの秘密
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ワンセグ携帯最大の3.5インチワイドVGA液晶と17.7ミリのスリムフルスライドボディが特徴のハイエンド端末が「P905iTV」。大画面、高画質、高音質、高感度、長時間を実現した“VIERAケータイ”と名乗るにふさわしい高機能ワンセグケータイとして登場する。写真で解説する「P905iTV」
なんとデカい画面か……。これぞ“VIERAケータイ”の本命──。現在、ワンセグ携帯最大の3.5インチフルワイドVGAディスプレイを搭載する映像ケータイが「P905iTV」。P905iと共通する部分も多いが、本機ならではの映像機能や横向きUI、そして圧倒的な存在感を備えて登場する。インタビュー:前機種は勝てなかった部分もあった、だからこの“VIERAケータイ”に込めた──「P905iTV」
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