海外でも「タッチパネル」と「スマートフォン」が話題:ITmediaスタッフが選ぶ、2008年の“注目ケータイ”(ライター山根編)
3G版が登場し全世界に販路を広げたiPhoneや、米GoogleのAndroid携帯など、2008年も海外市場では話題性のある製品が多く登場した。中でも話題の中心は「タッチパネル」と「スマートフォン」だ。筆者が選ぶ注目の3機種を紹介しよう。
2008年の海外市場はNokiaの優位は変わらないものの、2位以下のメーカーとの力関係が大きく変わった年であった。シェアは下位でもHTCやApple、BlackBerryのRIMの力が増すなど、大手メーカーもうかうかしていられない時代になりつつある。また、タッチパネル対応端末やスマートフォンが増えるなど、端末バリエーションが大きく広がった1年でもあった。その中から目立った3機種を取り上げた。
ウィジェットが楽しいタッチスマートフォン――「OMNIA(SGH-i900)」
2008年はタッチパネルを搭載した端末が各メーカーから続々と登場した。iPhoneの影響があるだろうが、決して“iPhoneもどき”ではなく、独自のタッチ操作UIを搭載したオリジナリティーあふれる製品が多かった。
その中で筆者が最も評価したのは、Samsung電子の「OMNIA(SGH-i900)」だ。日本でもソフトバンクモバイルから「930SC OMNIA」が販売されたが、海外版OMNIAは、これは大きく違うWindows Mobile OSをベースにしたスマートフォンだ。
なにしろ、高速なCPUや大容量のメモリを搭載しており、スマートフォンとしての利用も快適だ。外部メモリにも対応し、16Gバイトモデルなら16GバイトのmicroSDHCとあわせて最大32Gバイトもの容量を利用できる。
さらに、画面上に好みのウィジェットを配置してアプリケーションへワンタッチでアクセスできる「TouchWIZ UI」を搭載。使いやすさだけではなく“Widgetを自在に出し入れできる”楽しさもあって、スマートフォンを使いにくいと考えていた一般ユーザー層を取り込むことに成功した。
本体デザインも従来のスマートフォンよりもなかなかスタイリッシュだ。男性だけではなく女性ユーザーも多いようで、本体カラーはホワイトやブラックなどのバリエーションも登場した。
また、手ブレ補正や顔認識機能などを備えた500万画素の高機能カメラや、DivX/XviD形式の動画ファイルの再生といったマルチメディア機能も完備している。ビジネス用途だけではなくエンターテインメントマシンとしても利用でき、「これ1台で何でもできる」といっても過言ではないほど完成度の高い端末だった。
スタイリッシュなビジネスツール――「Nokia E71」
今年の海外市場はスマートフォンのバリエーションが急増したことも1つのトピックである。前述したOMNIAやHTCの「Touch Diamond」など、本体デザインに力を入れたモデルも多く登場した。海外のスマートフォンは「仕事で使う多機能端末」から「ビジネスパーソンのアクセサリ」へと脱皮を図りつつあるようだ。こうしたスタイリッシュなスマートフォンの中で最も印象に残った端末が「Nokia E71」だ。
Nokia E71はQWERTYキーボードを備えたメールやテキスト入力に適したスマートフォンで、金属素材の外装を採用したことが最大の特徴だ。厚さはわずか10ミリで、重さは127グラム。金属ならではの剛性と重量感があり、持った瞬間に樹脂素材の端末とは明らかに異なる印象を与えてくれる。上着の胸ポケットにも入るサイズで、大きい名刺入れを携帯しているような感覚だ。
ディスプレイ解像度はQVGAとややもの足りないが、動作は機敏でストレスなく動く。QWERTYキーボードの各キーは適度なサイズで片手でも操作できる。また、この厚さの中にHSDPAや無線LAN、GPS、Bluetoothなど、ビジネス用としては必要十分な機能を搭載している。スマートフォンとしてだけではなく、ビジネスツールとしても魅力にあふれた1台だ。
このNokia E71は日本でも発売される予定だった。海外で大ヒットしたスマートフォンが日本のビジネスユーザーにどう受け入れられるか興味深かったが、日本では発売中止になってしまったのが残念でならない。
“大人向け”の小道具――「BlackBerry Bold」
3機種目もスマートフォン系だが、ビジネスユーザーを中心にiPhone以上の人気を得た注目端末が「BlackBerry Bold」だ。Nokia E71が金属のスマートな質感なら、BlackBerry Boldは背面を革仕上げとし、全体を落ち着いたカラーリングでまとめた“できる大人の小道具”といった表情を出している。
QWERTYキーボードの押しやすさは歴代のBlackBerryの伝統を引き継いでおり、両手の親指を使って快適に文字入力ができる。無線LANを搭載し、従来のBlackBerryの弱点でもあったインターネットアクセス機能も大幅に向上した。例えば、海外に出張したときでも高いパケット代を払わずに、空港などの公衆無線LANスポットを利用できるわけだ。
ディスプレイ解像度は従来機種の倍であるハーフVGAサイズ(480×320ピクセル)となり、メールやWebサイトの視認性も高くなった。オフィス文書の閲覧や編集機能ももちろんだが、会社やISPのメールをダイレクトプッシュで受信できるという、使い勝手が向上したBlackBerryサービスが最大の注目点といえる。
エンターテインメント機能も充実しており、iTunesのライブラリを取り込むPC用アプリケーション「BlackBerry Media Sync」が付属する。BluetoothはA2DPによるステレオ再生に対応しており、iPhone単体ではできない“ワイヤレスで音楽再生”もBlackBerry Boldなら可能だ。内蔵GPSを利用した「BlackBerry Map」で、高解像度な画面で詳細な地図も閲覧できる。
BlackBerryといえば、従来はビジネス用途のメール端末というイメージだったが、BlackBerry Boldは“大人向けの質感”と“マルチメディア機能”を追加した、新世代のBlackBerry端末に仕上がった。筆者の住む香港では世界で最初にBlackBerry Boldが発売されたが、海外からの出張者がこぞって空港の携帯事業者店舗でBlackBerry Boldを買う姿を多数見かけるなど、BlackBerryユーザーにとってはマストバイともいえる製品だろう。
ちなみに、海外の一部地域で販売されているBlackBerry Boldは、日本語にも完全対応している。文字入力だけでなくメニューも日本語に対応しており、海外在住の日本人の利用者が増えているようだ。そして来春にはNTTドコモから日本で発売される。ワンセグやおサイフケータイといった日本独自の機能は備えていないが、BlackBerryサービスとBlackBerry Bold本体の使い勝手のよさから、日本でも愛用者が増えるだろう。
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