“フルタッチ”と“プレミアム”で全セグメントの勝者に――Samsung電子の戦略(2/2 ページ)
今、携帯電話の世界市場で勢力を伸ばしているメーカーがSamsung電子だ。同社がさらに勢いを加速させるための方策とは。そして「まだギャップがある」日本市場で存在感を高めるために必要なものとは何か。
1度フルタッチに慣れると物理キーには戻れない
Samsung電子が現在、各セグメントで最も注力しているのが“フルタッチケータイ”だ。「フルタッチケータイには最先端の技術を使っている。その使いやすさは、1度慣れると物理キーには戻れないほど。ケータイの用途はメールが8割という人には不便かもしれないが、ヘビーユーザーにはフルタッチのほうがいい」とオウ氏はアピール。同社のタッチパネル対応のAndroidケータイ「Samsung GALAXY」(I7500)にも触れ、「フルタッチを採用しないアンドロイドケータイは(現時点では)存在しない」と、今後はフルタッチが標準仕様になるとの見解を示した。
同社は、世界初の1000万画素カメラ搭載ケータイを投入したメーカーとしても知られる。オウ氏は「10Mカメラを投入した当時はネガティブな評価が多かったが、2008年に8Mカメラを投入して、ようやく世界で理解された」と振り返った。「最近は楽しくカメラを使える機能にも力を入れ、画像を共有するアプリも開発している」(同)。
柔軟な対応で日本市場とのギャップを埋めたい
Samsung電子は日本向けにも「930SC OMNIA」「OMNIA POP 931SC」といったフルタッチ端末を投入したが、大ヒットには至っていない。オウ氏は「世界の端末と日本の端末にはギャップがある。そのギャップを1つずつ埋めていくのが我々の仕事」と話すが、具体策はあるのだろうか。
オウ氏は「速いスピードで柔軟に対応できるのがSamsung電子の強みだが、まだ日本ではその強みを生かせていない。日本のケータイはとてもレベルが高い。おサイフケータイやワンセグなど、搭載すべき機能も多く、ユーザーインタフェースも独特。今後も、機能やUIを含めてキャッチアップしていきたい」と説明。具体策は模索中という印象だった。
Samsung電子製の携帯端末は、フルタッチ仕様が主流になりつつあるが、“親指文化”が根付いている日本の携帯市場では、物理キーを搭載したケータイの需要も依然として高い。同社がかかげる「全セグメント」で勝つためには、物理キーを生かした魅力ある端末の開発も望まれる。世界市場はもちろん、同社が日本市場でさらに存在感を高められるか、その手腕に注目したい。
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