「ザクとは違うのだよ、ザクとは」を目指した――「945SH G Ver.GP30th」:企画者に聞く“ガンプラケータイ”(2/2 ページ)
巨大なザクヘッドが話題を集めたシャア専用ケータイから約2年半。ガンダムファンの期待に応える待望の新機種が、ついに登場する。第2弾ならではの苦労やこだわりはどこにあるのか。ソフトバンクモバイルの企画担当者に、その想いを聞いた。
ガンプラケータイは特別な子よ、私、そんな気がするの
―― 付属のガンプラや充電台は、バンダイさんのものでしょうか? 何かソフトバンク側からの提案はありましたか?
片桐氏 基本的には先方の提案ベースでできています。
浦元氏 ただ、実を言うと、全体のコンセプトを提案したのは、我々です。そこに対して、創通さんやサンライズさんに強く共感していただき、この機種を開発することになりました。そのときに、ガンプラ本体に対してどうプレミアム感を出すことができるのかを検討していただき、このような初のメタルインフレームを採用したガンプラをセットにすることができました。
また、充電台にもこだわっています。形状はあくまで標準モデルと同じですが、実は色が若干違います。標準モデルの充電台の生地の色は、もともとガンプラのグレーに近かったのですが、あえてガンプラ専用のグレーに変えました。
―― それ、変えなくてもよかったんじゃないですか?(笑)
浦元氏 まぁ、そのままでも分からなかったかもしれませんが、そこは変えなきゃということで(笑)
琵琶氏 「そこを変えるの?」という声は、社内でも結構ありましたね(笑)
浦元氏 あと、非常に細かいですが、クレードルの裏側に“はり”を表現したパーツも成型しました。裏側なのであえてのぞき込まないと分かりませんが、やはりこういう見えないところにこだわる必要があります。カタパルトや基地のリアリティを出すために、最後の最後で、これを入れることにしました。
端末にもかなり細かい部分まで、手を入れています。例えば、フラット面だけでなく、立体面にも色を落として、稜線のところの色が変わらないようにしてあります。コストはかかりますが、「ここは大事」と相当無理を言いましたね(笑)。パーツとパーツのラインにもこだわりました。だからと言って、倍売れるわけではありませんが、表現を徹底するというのは、このような企画では大切です。
シールドをモチーフにしたバッテリーカバーのクロス(十字)の部分も、黄色い生地に対して1度赤を塗って、クロスだけをもう一度黄色に塗っています。こうすることで、万が一色がはげたときにもクロスの部分は黄色いままになります。色を分けるところは“段落ち”させ、境界がにじまないようにしています。実際のシールドにはそんな溝はありませんが、印刷業者さんとお話をするなかで、こういう処理をすればいいとなりました。ガンプラでは、だいたいシールドの十字の部分は“抜き”になっていて、裏から黄色いパーツをはめ込んだりしていますが、バッテリーカバーでは厚みが出せないので、それはできなかったんです。
片桐氏 デカールにも注目してほしいですね。端末用、ガンプラ用のものを、それぞれ入れています。
琵琶氏 端末用のものはプレミアムデカールという名称です。
―― ケータイだと頻繁に利用したり、落としたりすることもあるので、せっかくのデカールがはがれてしまう恐れはないのでしょうか? この端末は防水モデルなので、耐水性も気になるところです。
片桐氏 基本的にはバイク用のデカールと同じもので、はがれにくく、耐水性もあります。ポケットに入れてもちょっとやそっとのことでは、はがれません。逆に、元に戻したいときは、キレイにはがすこともできます。
浦元氏 貼りやすく、はがれにくく、薄いというのが、このデカールの特徴です。のりと合わせても、厚さは20ミクロンしかありません。バイク用デカールメーカーさんの技術を使って、ガンプラケータイ用に開発した専用デカールです。お金もかかりましたが(笑)
片桐氏 ケータイと一緒に使うために品質を上げています。とは言ってもデカールなので、はがれてなくしてしまうことも考慮して、予備も含めて多めに入れてあります。
浦元氏 ものにもよりますが、大体1パターンで3つずつ入れました。
―― 話は変わりますが、913SH G TYPE-CHARは、1シーズン前のモデルがベースになっていましたが、今回は最新モデルの945SHベースでスペックも最高峰ですね。
片桐氏 ガンダムファンの中にはメカ好きの方も多いので、一番ハイスペックなものを選びました。
浦元氏 945SHがガンダムっぽかったというのも、この端末にした理由です。回転2軸スタイルで変形するのも、形状としてはガンダムにふさわしいと考えました。モビルスーツのようなメカっぽさ、ギアっぽさを表現するにも最適です。ボディに量感があるのも、ベース向きだったと思います。
琵琶氏 通常のコラボ端末は1商戦置いて開発を進めますが、夏にガンダムが静岡に立つということで、無理やりタイミングを合わせたというのが正直なところです。開発が決定したのも、945SHから1~2カ月遅れてという程度です。
片桐氏 やはりガンダムが型落ちではマズイですからね(笑)
―― 確かにそれだと最新兵器ではないですね(笑)
琵琶氏 箱も、我々メンバーがこだわった部分です。通常のケータイは普通のボックスですが、コンセプトがガンプラということもあり、少年のときに味わったワクワク感が出るよう、なんとかガンプラ形状にするために、社内調整をし実現しました。
片桐氏 この大きさだとソフトバンクの通常の袋には入りません(笑)。ですから、これ用に専用の袋も用意しました。
謀ったな!! 孫(社長)!!
―― ちなみに今回、孫社長の反応はいかがでしたか? 前回はポジティブな意味で「お前はアホか」と言われたとうかがいましたが……。
浦元氏 ガンダムとのコラボ企画に対しては、基本OKというか(笑)。当然、ビジネスのコンディションや、実際の建て付けにはかなり関心を持っていました。プレゼンのときも、しゃべっている我々が、相当目をギラギラさせていたので、「お前ら趣味でやってるだろ」と半分笑いながら言われましたね。孫からは、企画当初、「外装だけでなく、中身の作り込みも非常に重要だ」と指摘は受けていたので、その意見も踏まえ、先ほどからお話ししているような作り込みをしていきました。
―― 実際に端末を使い込む孫さんだからこその意見かもしれませんね。ガンダム世代ではないと思いますが(笑)
浦元氏 コラボだからというより、モノのありようとして、世界観やディテールにこだわることの重要性を分かっているのだと思います。
――ここまで完成度が高いと、さらなる続編にも期待したいですね。片桐氏 お客さまの反応も非常にいいですし、こういった取り組みは続けていきたいですね。
浦元氏 これ以上にインパクトを出す企画は難しいですけどね(笑)
―― 確かに、一発目がザクヘッドで、その次がガンプラだと、なかなか大変そうです(笑)
浦元氏 先々のことまで考えてくれとは思いますが(笑)、ディテールにこだわればこだわるほど、反応がよくなる商品もあまりないので、我々にとってもやりがいがありますね。次をやるのであれば、確実これを超える驚きを提供していきたいと思います。
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