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第11回 3秒に1台売れる! 中国1000元スマートフォン「Coolpad 7295」山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)

中国では、5月の大型連休に大きな商戦期が来る。通信事業者も巻き込んだメーカーの苛烈な販売競争で、3秒に1台という歴史的な勢いで売れたモデルがあった。

中国で最も売れている“1000元”スマートフォン

「Wo」のブランドで展開している中国聯通

 中国の通信事業者が運営する直営店や家電量販店の店頭には、最も目立つ“一等地”に各メーカーのスマートフォンがずらりと並ぶ。その種類は日本の量販店で扱うモデル数よりはるかに多い。現在、中国スマートフォンメーカーの各社は1000元台のモデルに力を入れている。このクラスのモデルは性能の向上も著しい。その1000元スマートフォンの中で、今最も人気の機種が「Coolpad 7295」だ。

 中国移動(チャイナモバイル)がTD-SCMA、中国聯通(チャイナユニコム)がW-CDMA、中国電信(チャイナテレコム)がCDMA2000と、中国では、3社3方式の3Gサービスを展開している。3Gの新規加入数は、3社合計で毎月1000万件を超えており、それに応じてスマートフォンも売れまくっている。2013年4月には、中国移動が565万1000件、中国聯通が407万6000件、中国電信は307万件もの3G新規契約を集めている。スマートフォン購入時に新規契約を行えば、端末の価格がまるまる通話費用としてキャッシュバックする販売促進キャンペーンの効果もあって、2Gのフィーチャーフォンから3Gのスマートフォンへの乗換え需要も高い。

 中国にも日本と同じように5月初旬に連休があり、この期間は中国国民の消費が大いに盛り上がる。5月1日の休日「労働節」を中心としたこの連休商戦は「五一商戦」と呼ぶ恒例のものだ。この時期、通信事業者は、プリペイドSIMの割引販売や端末購入の無料ギフト進呈など、大々的な販売キャンペーンを行なう。

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 2013年の「五一商戦」は4月29日からスタートした。各社思い切ったプロモーションを行ったが、連休初日から突出して売れまくった製品があった。1日の販売台数が1万8000台、店舗の営業時間が15時間とすると、実に3秒に1台売れた計算になる。この大人気商品となった製品はSamsung電子のGALAXY S4でもアップルのiPhoneでもない。中国のスマートフォン専業メーカー、Coolpad(深セン宇龍通信)の「Coolpad 7295」だ。

店内には、Coolpad 7295が3秒に一台売れたことを表す看板を掲げている(写真=左)。各社のスマートフォンが並ぶ中で、Coolpad 7295は一番目立つ位置に置いてあった(写真=右)

 Coolpad 7295は、中国聯通向けのW-CDMA/GSM端末で、定価は1399元だ。ただし、中国聯通と2年間のプリペイド契約をすると、毎月通話料を割引いて実質的に本体代金相当が無料になる。Coolpad 7295は、中国聯通が2013年2月に打ち出した「4521戦略」、すなわち、「4コアCPU」「5インチディスプレイ」「下り21Mbps」の機能を備えた1000元スマートフォンという“戦略的な”モデルにあたる。

 中国聯通は、このCoolpad 7295とZTEの「987」を4521戦略の“ツートップ”として消費者に大きくアピールしている。Coolpad 7295は、価格と性能バランスのよさに加え、本体のデザインもスタイリッシュなことから女性の支持も多く、その結果、2013年の五一商戦でダントツの売り上げとなった。

1000元前半と低価格モデルながら、クアッドコアプロセッサーを搭載して性能も高い。2年契約で無料購入も可能だ(写真=左)。Coolpad 7295のパッケージは、ほかのモデルとよく似た一般的な形状だが、機種名の表示は控えめにしている(写真=中央)。ディスプレイのサイズは5インチだ。Coolpadのロゴは上部に印刷している(写真=右)
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