Xperiaのヒットが業績をけん引――ソニーの第1四半期は増収増益:Xperiaは960万台を販売
ソニーが2013年度第1四半期の連結業績を発表。Xperiaシリーズが第1四半期で960万台売れるなど好調で、前年同期比で増収増益となった。
ソニーは8月2日、2013年度第1四半期(4月から6月)の連結業績を発表した。売上高は1兆7127億円、営業利益は364億円。前年同期比でそれぞれ13%増、479.4%増と、増収増益の決算となった。
大幅な増収増益の理由は「スマートフォンの販売台数の増加、金融ビジネスの好調、為替の好影響によるもの」(代表執行役 EVP CFO 加藤勝氏)。ソニーはエレクトロニクス分野の復活を経営課題に掲げているが、その点でも「営業利益に関しては想定よりいい。まずますの結果が出せた」(同)という。モバイル分野での業績は次のとおり。スマートフォン、タブレット、PCを含む事業セグメント「MP&C」は売上高3890億円で、営業利益は59億円。前年同四半期のマイナス289億円の赤字から一転、黒字化を達成した。
このセグメントをリードしているのが、Xperiaシリーズだ。スマートフォンの販売数は、Xperiaが好調で第1四半期で960万台。昨年同四半期は720万台で、240万台の伸びを見せた。通期での見通しは4200万台。これは、5月に発表した数値から据え置きとなった。Xperiaについては、「昨年、ソニーモバイルを100%子会社化して、持てる技術をすべてつぎ込んだ商品が大変好評を得ている。追い風の中できちっと利益も出ている」(加藤氏)とコメント。業務執行役員 SVP 広報センター長 神戸司郎氏も「(グローバルも含めた)Xperia Zや、日本ではドコモさんのXperia Aが(業績を)けん引している」とした。6月に発表された「Xperia Z Ultra」については「発表以降、各方面より大きな反響を呼んでいる」(加藤氏)という。
日本メーカーが全般的に苦戦を強いられている中、販売台数を順調に伸ばすソニー。これに対し「どのような商品なら勝てるのか」というコメントを求められた加藤氏は、次のように語っている。
「1つはお客様に喜んでいただける商品であること。持っている技術をすべてつぎ込む。ジョイントベンチャー(ソニー・エリクソンのこと)だと、そうもいかない事情があったが、100%子会社だと、ディスプレイ、電池、カメラの技術を全部つぎ込める。それもできるだけ早く、最先端のものを短い時間で届けられる。もう1つはサプライチェーン。ソニーモバイルのマーケティングも頑張っているが、エレクトロニクスで持っている販売網が、特にリテールで物を売るときに大変役に立つ。結果、高付加価値の平均単価を上げられる商品に重点を置いている。これが収益性の改善には、プラスに効いている」
また、神戸氏は「他社に関するコメントは控えたい」としつつ、グローバルを意識した展開が重要だと述べた。「今のスマートフォン業界は競争も激しい。ある程度グローバルに戦える体力、これは必要だと思う。特定のマーケットだけでなく、欧州、日本、その他の地域で戦っていくことが必要」と同氏。ソニーモバイルはこうした市場で、各国のキャリアとの関係を強化してきた。神戸氏も「通信キャリアとの戦略的提携は、日本に限らずやっていく。これを1つ1つ進めている」と語った。
ユーザーインタフェースやコンテンツといった、ソニーの持つリソースもXperiaにとって重要になる。「技術的な面で光るのも重要だが、ユーザーから見て使いやすい、ユーザーエクスペリエンスがいいと位置づけてもらえるものにした。映画のリソース、音楽、あるいはゲームと、コンテンツやサービスをハードと絡み合わせながらマーケティングしていく」(加藤氏)
なお、ソニーの業績に対する貢献は、映画部門や音楽部門も大きい。映画セグメントの売上高は1589億円で、営業利益は37億円。音楽セグメントは売上高1120億円、営業利益108億円となる。こうしたコンテンツやサービスも、Xperiaの強みになっているというのが加藤氏の見方だ。
このほか、スマートフォンに関連した分野では、デバイスに属するカメラモジュールが好調だった。デバイスセグメント全体での売上高は前年同期比9.7%減の1962億円で、営業利益も108億円と前年同期より減少している。一方で、「モバイル向けイメージセンサーの売上は大幅に増加している」(加藤氏)。ソニーは「Exmor R for mobile」「Exmor RS for mobile」などの裏面照射型CMOSセンサーを外販しており、採用するメーカーは非常に多い。減収減益の主な理由には、売却したケミカル事業が決算に計上できなくなったことなどが挙げられている。
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