白戸家、パズドラ、地域限定……スマホ関連CMの最新事情:佐野正弘のスマホビジネス文化論(3/3 ページ)
好感度調査で常に上位を占めるキャリアのテレビCM。スマホの競争激化でその存在意義は以前よりも高まっているようだ。そして最近は、アプリなど新しい分野のCMも増え始めている。
全国で同じとは限らないテレビCM、地方限定のCMも
最後に、テレビCMの地域性についても触れておきたい。地上波のテレビCMは全国一律に放映されている訳ではなく、各地域のテレビ局によって、異なるCMが放映されている。全国的に放映されていると思っていたCMが、実は地域限定だったというケースも少なからずあるのだ。
その典型的な例となるのが、地域限定で提供されているキャンペーンに関するCMだ。直近の事例でいうと、ソフトバンクモバイルが「Yahoo! BB光」も対象としたセット割キャンペーン「スマート値引き」がそれに当たる。このキャンペーンは東北6県と東海4県でしか実施されていないことから、テレビCMも該当地域でしか放映されていない。
また最近では、タレントのヒロミ・松本伊代夫妻が登場する、その地域でのエリアの広さをアピールするソフトバンクモバイルのCMが、一部地域で放映されているという。
スマホアプリのCMも地域限定のものが意外と多く、例としてコロプラの「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」や「プロ野球PRIDE」など人気ゲームのCM放映に関するリリースを確認すると、その多くが放映する地域を絞っているのが分かる。キャリアと比べ資金力が弱いアプリベンダーは、投資に対して高い効果を得るためにも、CMの放映地域を、特に都市部に絞る傾向があるようだ。
逆に、都市部より地方で多くCMを放映している事例もいくつか存在する。その1つが、ガンホーの「ディバインゲート」というゲームのCM。このCMは2013年末より放映されているのだが、調べてみると関東での視聴報告は少なく、それ以外の地方で視聴したという声の方が多い。実際筆者も、年末に福島へ帰省した際、首都圏では見かけなかったディバインゲートのCMがかなりの頻度で放映されているのを見て、驚いたのを覚えている。
テレビCMは内容がその時節を表しているのに加え、時間や場所によって放映内容が変化することから、非常に奥が深いものだ。普段何気なく見ているテレビCMも、業界の背景や動向を確認しながら見てみると、意外と面白い要素が見えてくるだろう。
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