GW直前! スマホアプリでアニメの“聖地巡礼”を満喫しよう:佐野正弘のスマホビジネス文化論(1/2 ページ)
アニメや漫画の舞台となった土地を訪れる聖地巡礼が人気だ。昨今は町おこしの一貫として制作段階から地元が携わるケースも増えている。その実情を知るべく、“ガルパン”で知名度を上げた大洗に出撃した。
近頃注目されている、アニメや漫画の舞台を巡る「聖地巡礼」。最近では聖地巡礼をサポートするアプリもいくつか提供されているが、果たしてスマートフォンとアプリだけで、聖地巡礼を満喫できるのだろうか? 「ガールズ&パンツァー」の聖地、茨城県大洗町を訪れて実際に試してみた。
漫画・アニメの“聖地巡礼”とは?
ゴールデンウィークを間近に控え、国内外への旅行を計画している人も多いだろうが、最近はちょっと変わった旅行スタイルも広まってきている。それが、俗に“聖地巡礼”と呼ばれるものだ。
聖地巡礼といってもそれは、宗教的な巡礼のことではない。数年前より、アニメや漫画などの舞台となった場所を実際に訪れることが“聖地巡礼”と呼ばれ、急速に注目を集めているのだ。聖地巡礼が大きく注目されるようになったのは、2007年に放映されたアニメ「らき☆すた」がきっかけと言われている。それ以降、アニメや漫画のシーンから、ファンが“聖地”を積極的に探し出し、同じシーンの場所を訪れて写真に収めるなど、作品を生んだロケーションを楽しむ人が確実に増えているようだ。
最近は架空の舞台や首都圏だけでなく、地方を舞台としたアニメや漫画の作品も増えてきている。実際、筆者の地元が舞台となっているらしいアニメが放映されたという話も耳にする程だ。そうしたことから、聖地巡礼のため全国各地を訪れる人も増えているようで、観光にもたらす効果の大きさも、年々注目されるようになっている
聖地巡礼は元々、ファンが自発的に聖地を訪れて盛り上がるというものだった。だが聖地巡礼が観光に大きな効果をもたらし、それがメディアなどに取り上げられ注目されるようにもなったことから、最近では地元の自治体や商工会・観光協会などと早い段階で積極的に連携し、作品を観光や町おこしに生かそうという動きも進められている。
聖地巡礼の盛り上がりには作品の人気が不可欠だが、テレビアニメなどは1クール(3カ月)で終わってしまうものも少なくない。それゆえ盛り上がりを継続するには、作品を提供する側と、聖地となる地元、そしてファンの三位一体による盛り上がりが求められる。だがそうしたハードルを乗り越え、長きにわたって継続した人気を獲得している“聖地”も、いくつか現れているようだ。
増えつつあるスマートフォン用聖地巡礼ツール
聖地巡礼について改めて理解したところで、本題に入ろう。実は聖地巡礼をする上で、いまスマートフォンが非常に重要なツールとなっているのである。スマートフォンをフル活用すれば、聖地となるスポットの正確な場所や情報を確認し、アニメに登場したシーンと同じ風景をカメラで撮影し、それを友人に伝えたり、ブログ等で報告したりする……という一連の流れを、1台で実現できるからだ。
そうしたことから、“スマートフォンで聖地巡礼”をサポートするアプリやサービスもいくつか登場している。中でも、最近登場したサービスとして注目されているのが、3月28日にサービスを開始したディップの「聖地巡礼マップ」である。
これはスマートフォン向けのWebサービスで、約3000ものスポットから、好みのアニメ作品の“聖地”を検索できるというもの。各スポットの場所は地図やストリートビューなどで確認できるのに加え、実際にスポットを訪れて写真を投稿したり、スポット自体の登録申請をしたりできる機能も備えている。登録されている作品も、今年放映された最新作から1960年代のアニメなど、非常に幅が広いようだ。
スマートフォンの活用を一層進めた例として、聖地でないと見られないアニメというのも上げておきたい。これは、富山県南砺市を舞台とした「恋旅~True Tours Nanto」というもの。同作品は物語の前編のみ全国で視聴できるが、後編は南砺市の特定のエリアに行き、ワンセグのエリア放送を用いるか、専用のスマートフォンアプリを使用しないと視聴できない仕組みとなっている。
南砺市は2008年に放映された「true tears」の“聖地”として注目されて以降、同アニメと積極的にタイアップを実施するなど、アニメを活用した観光の活性化に力を入れている。「恋旅~True Tours Nanto」も単にアニメを視聴するだけでなく、ARによる撮影機能を用意し、訪れた人に市内を巡回してもらう仕組みを設けることで、観光へと結び付ける狙いがあるようだ。
「ガールズ&パンツァー」の聖地・大洗で巡礼を実践!
だが実際のところ、本当にスマートフォン“だけ”で聖地巡礼を満喫できるのだろうか。今回、筆者は聖地巡礼をサポートするアプリを使って、アニメ「ガールズ&パンツァー」の舞台となる茨城県の大洗町で、聖地巡礼を実際に試してみた。
ガールズ&パンツァーは、2012年に放映されたアニメ作品。美少女達が戦車に乗り、本格的な戦車戦を繰り広げるという内容で注目を集め、7月にはOVAの発売が予定されているほか、劇場版の制作も決定。今なお継続した人気を得ている。
そしてもう1つ、同作品の大きな特徴となっているのが、舞台となった大洗町と積極的なタイアップを実施したり、同町のイベントに積極参加したりするなどして、同町にファンを集めていること。実際、大洗町内を歩いてみると、商店街やアウトレットモールなど至る場所で、ガールズ&パンツァーのキャラクターを何らかの形で目にし、街とアニメが一体となって盛り上げている様子を実感できる。
筆者も無論、ガールズ&パンツァーは視聴している。のだが、目立つ場所以外ではどの辺りがどのシーンであったかまで、しっかり把握しているわけではない。しかも大洗町に行くのは初めてのことであり、土地勘もない。そうした比較的ライトな視聴者でも、スマートフォンとアプリだけで聖地巡礼をしっかり楽しめるのか……? というのを検証するのが、今回の目的だ。
関連記事
- 「佐野正弘のスマホビジネス文化論」バックナンバー
白戸家、パズドラ、地域限定……スマホ関連CMの最新事情
好感度調査で常に上位を占めるキャリアのテレビCM。スマホの競争激化でその存在意義は以前よりも高まっているようだ。そして最近は、アプリなど新しい分野のCMも増え始めている。ユーザーは億単位、競争は世界規模に――2014年無料通話・メッセージアプリ最新事情
国内では「LINE」の1強状態となったスマホ向けの通話・メッセージアプリ競争。だが世界に目を向けると、「Viber」「WhatsApp Messanger」などの大型買収が相次ぎ、新たな局面を迎えようとしている。コロプラと手を組んだGlu Mobileに聞く、海外ゲームベンダーの日本攻略法とは
北米の大手ゲームアプリベンダー「Glu Mobile」が日本のコロプラと提携して国内市場への本格参入を表明した。Glu Mobileの狙いはどこにあるのか、日本担当スタッフに話を聞いた。アプリで子育て? パパ・ママに人気のスマホアプリの現在と今後
スマホやタブレットの利用シーンが広がり、子育てにも活用するケースが増えている。どんなアプリが受け入れられているのか、またどんな課題があるのかを追った。40代女性は“デコ”が好き?――トレミールに聞くスマホアクセサリー事情
スマートフォンのアクセサリー市場も急成長を遂げているが、売れ筋の製品やメーカーのこだわりなど、意外と知られていないことは多い。今回は女性向けを中心とした商品を開発しているトレミールに、アクセサリー開発の舞台裏を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.