中国で始まった“Xiaomi包囲網”(前編)──「紅米」「Mi3」を追撃するHuawei:山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)
中国の新興メーカー「Xiaomi」が急激にシェアを伸ばしている。大手メーカーも対抗製品の投入を始めているが、Xiaomiの勢いを止めることはできるのだろうか?
「おしゃれな低価格機」で一気に追い上げるHuawei
となると、ほかのメーカーがXiaomiの戦略をトレースしようと思えばできないことはない。とはいえ、今からXiaomiと同じ製品を作ったところでそれは「Xiaomiの真似をしたモデル」で終わってしまう。Xiaomiに打ち勝つにためには、同じことをやるのではなく独自の戦略が必要だ。
いま、中国各社はその「独自性」に注力して製品を開発している。そして、Xiaomiの座を脅かす製品が出てきている。先ほど紹介したCounterpointの調査結果で、Xiaomi、Apple、サムスン電子に交じって5位にHuaweiの「Honor 3C」がつけている。この「Honor 3C」と(10位までにランクインしていないが)「Honor 3X」は、Huaweiが市場に投入した“Xiaomiキラー”だ。
HuaweiはHonor 3シリーズを2013年12月に発表した。Xiaomiの「紅米」が2013年8月、「Mi3」が2013年9月であるから、わずか数カ月で開発したことになる。「Honor 3C」は1000元を切る低価格機、「Honor 3X」は1000元台で高スペックと、それぞれ「紅米」「Mi3」に真っ向から対抗している。
この2製品は発表直後に中国の大手オンラインショッピングモール「JD.com」(京東商場)で予約販売を先行して受け付けるなど、Xiaomiと同じようなネットを活用する販売手法を取った。しかし、Huaweiのメーカー名ではなく「Honor」のブランド名をアピールし、新しい製品というブランディングにも注力している。加えて製品のボディーカラーもXiaomiが黒や赤などを前面に出しているのに対し、Honor 3シリーズは白やピンクやミントグリーンなど明るい色を中心とした6種類のカラーバリエーションを展開した。
Xiaomiとの違いは製品パッケージにも表れている。Xiaomiは無駄なコストをかけていない印象を消費者に与えるため、パッケージは無印良品のようなクラフト紙をイメージした紙を利用している。これに対して「Honor 3C」のパッケージはミントブルーを基調にしており、そのデザインはジュエリーブランドのティファニーをイメージさせる。低価格品とは思えぬ印象だ。携帯電話販売店でもこのパッケージは目立っており、「Honor 3C」の製品イメージ向上に一役買っている。
「Honor 3C」の価格は、1Gバイト版が798元と「紅米」に並び、2Gバイト版は998元。上位モデルの「Honor 3X」は1698元と「Mi3」の1998元より300元も安い価格で登場した。「Mi3」と「Honor 3X」を比較するとディスプレイの解像度が低いがデュアルSIMに対応し、オクタコアで動作クロックが1.7GGzのCPUを搭載している。Xiaomiのような高スペックで低価格な新しい製品というイメージを「Honor 3X」は中国の消費者にアピールすることに成功している。
Honor 3シリーズの追い上げや製品発表から半年以上が過ぎたこともあり、Xiaomiは2014年4月に「Mi3」の価格を1699元に引き下げた。これに対しHuaweiは、「Honor 3X」のディスプレイ解像度を「Mi3」と同じ1080×1920ピクセルとしたアップグレード版を発表している。
さらに、中国で本格的な普及が始まったLTEに対応する「Honor 3C LTE」も近日中に投入する予定だ。XiaomiはLTEスマートフォンをまだ発表しておらず、対応するとしても上位モデルの「Mi3」後継機からと多くの関係者はみている。低価格スマートフォンの争いで「Honor 3C LTE」がXiaomiの紅米シリーズを追い抜く可能性もありそうだ。
関連キーワード
Xiaomi | 中国 | スマートフォン | Samsung | 華為技術(Huawei) | ブランド戦略 | ファブレット | 山根康宏の中国携帯最新事情 | 山根康宏 | 山根康宏の中国携帯最新事情
関連記事
「iPhone 5sも5cも怖くない」──XiaomiがAppleを超える理由
中国「小米科技」の新製品に世界中のユーザーが注目している。中国ではiPhoneのシェアを抜いた(!)小米。え、知らない? 「Xiaomi」というと分かるかな。第11回 3秒に1台売れる! 中国1000元スマートフォン「Coolpad 7295」
中国では、5月の大型連休に大きな商戦期が来る。通信事業者も巻き込んだメーカーの苛烈な販売競争で、3秒に1台という歴史的な勢いで売れたモデルがあった。第9回 約400社が乱立する中国スマートフォンメーカー
世界最大のスマートフォン市場となった中国では、毎週新製品が登場している。当然、メーカーも増えていて、2012年末には377社がスマートフォンを製造している。第8回 ライバルは「GALAXY Note」――5インチ超えスマホが急増する中国
2013年に入ってから5インチクラスの大画面スマートフォンが各社から発売されている。中国でも今や5インチスマートフォンは人気商品となっており、多数のメーカーが製品を投入している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.