バイドゥ、東大発のベンチャー起業popInを買収 ネイティブ広告を強化
バイドゥが東大発ベンチャーのpopInを買収した。コンテンツの熟読率を指標化した「READ」技術を取得し、中国でのネイティブ広告事業を強化する。
バイドゥは6月8日、東京大学発のベンチャー企業popInの買収を発表した。Webメディア向けのコンテンツレコメンド技術を開発・提供するpopInは、コンテンツの熟読率を指標化する「READ」を組み合わせたネイティブ広告の配信ビジネスを強みとしている。
バイドゥはpopInの全株式を取得して経営を統合。ただし、popInは国内で引き続き独立の事業会社として存続する。海外では中Baiduが中国国内の広告プラットフォームにpopInの技術を導入し、ネイティブ広告事業の強化を図る。
今後は中国だけでなく、アジア全域やグローバル向けにも拡大していく予定だ。またpopIn側はBaiduが持つ人工知能技術やDeep learningなどの技術を使い、自社技術の向上に努めるという。
バイドゥのチャールズ・ジャン社長は経営統合の記者会見で、「ネイティブ広告はグローバルで市場が急速に拡大している。特にモバイル分野の成長が著しい。日々、新しく生まれる関連技術に注目しているが、popInはグローバルで通用すると確信した」と買収の経緯を語った。
バイドゥ日本法人は国内で日本語入力アプリ「Simeji」を中心に事業展開しているが、国内企業による中国向け広告の出稿サポートや版権の商品化、国内航空券を中国国内のWebサイトで販売するインバウンド事業といった、BtoB、あるいはBtoBtoCの対中ビジネスも行っている。ジャン社長は「今後は、優れた国内技術の中国進出も積極的に行っていきたい」と意気込んだ。
popInは、創業者で社長のテイ・トウ氏が東大在学中に発明した特許に、東京大学エッジキャピタル(UTEC)らが出資し2008年に設立された企業。テイ氏は「日本に来たころはお金も友人もいなかったが、アイデア1つでここまでにしてくれた制度に感謝したい」とあいさつした。買収額と現在の事業規模などは非公表だが、ネイティブ広告事業は「この1年で400%成長している」(テイ氏)という。
会見が行われた東京大学産学連携プラザや同社が入居する東京大学アントレプレナープラザには、popInと同じように東大発のベンチャー起業が数多く活動している。程氏は起業を志す後進に対し、「(この買収を)身近な事例として、チャレンジを続けてしてほしい」とコメント。今後も引き続きpopInの経営に携わり、「バイドゥの技術を駆使して、世界中の情報体験をインテリジェントなものにしていきたい」という。
また東京大学 産学連携本部 イノベーション推進部長の各務茂夫教授は、産学連携を進める立場から「産学連携や技術移転の仕組みをどう使ってもらうのかが我々のテーマ。大学が個別の案件に関わったり、直接ビジネスをする分けではなく、支援といっても十分にはできなかったが、popInはバイドゥとご縁があって経営統合の道を選び、次のステップに進んだ。今後も挑戦を続けて欲しい」とエールを送った。
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