SIMフリーLTEや分割キーボードも、2016年を先取りしたモバイルPCが登場:「モバイル・ファースト」時代のWindows最前線(2/2 ページ)
2015年末になって、Windows 10搭載のモバイルPCが続々と登場。中でも特に注目なのが、SIMフリーのLTE通信に対応した「VAIO S11」と、小型PCながらフルサイズと呼べる分割キーボードを搭載した「ポータブック」だ。
“フルサイズ”のQWERTYキーをこのサイズで 小型PC「ポータブック」
小型のモバイルPCが好きな人にとって、「ポータブック XMC10」は久しぶりに心躍る存在だろう。「ポメラ」シリーズで知られる文具メーカーのキングジムが、初めて手掛けるWindows 10搭載PCだ。
最大の特徴は2分割方式のキーボード。キーピッチは18ミリとフルサイズのキーボードに近い大きさを確保した。本体サイズとキーボードの使い勝手はトレードオフの関係になりがちだが、ポータブックは携帯性とテキスト入力の生産性を両立しているのが特徴だ。見た目に反して打鍵感は安定しており、左右端のキーもしっかり打てる。ただ、光学式のポインティングデバイスはクセのある使い勝手で、段差のあるクリックボタンも慣れを要するだろう。
PCとしてのポータブックは、最新の「Cherry Trail」世代のAtomプロセッサーを採用。Atom搭載PCとしては高い性能だ。バッテリー駆動時間はJEITA 2.0測定で5時間とかなり短いが、タブレットのようにmicroUSBで充電できるのはうれしい点だ。8型のTFT液晶は画質が優れているとはいえず、長時間見続けるのは厳しいと感じる。テキスト入力を中心に考えても、もう少しきれいな画面が欲しかったところだ。
好みが分かれそうなのが、34ミリという本体の厚さ。可動式のキーボードの分だけ、厚さで損をしているように見える。その代わりUSBやVGA、HDMIといったポートを背面に搭載しており、下手に薄型化を狙うよりもインタフェースを充実させることでビジネス需要に応えるというポリシーが感じられる。
9万円という価格にも賛否両論がある。Atomプロセッサを搭載した安価なタブレットと比べて高いという指摘はあるものの、タブレットとキーボードの組み合わせで済むならば、Surface 3を始めとする多くの選択肢がある。だがポータブックはしっかりしたヒンジを備えたノートPCであり、膝の上など不安定な場所でも使えるという決定的な違いがある。
モバイルでも大量にテキストを入力したい人にとっては他に選択肢がなく、9万円はすぐに元が取れる価格ともいえる。欲を言えば、こちらもSIMロックフリーのLTEに対応してほしかったところだ。WANモデルの追加など今後の継続的な製品投入に期待したい。
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